• テキストサイズ

いろはに鬼と ちりぬるを【鬼滅の刃】

第32章 夜もすがら 契りしことを 忘れずは



 荒々しい舌が縦横無尽に蛍の口内を犯す。
 いつもより視線の位置は近い為に、感じる角度もいつもとは違う様に眩暈がした。

 湯当たりではない。はずだ。

 それでもふらついた体を支えるように、杏寿郎の手が腰を抱く。
 そのまま脱衣所の壁に押し付けられて尚も呼吸を奪われた。


「はっ待っ…杏んぅッむ、く…っ」


 言葉で止めようとしてもすぐに喰らい尽くされる。
 いつもより大きな手で胸を押し返せど、あっさりと両手首を一つにまとめた手で壁に縫い付けられた。

 自分だって男の為に体も手足も大きなはずだ。
 なのにそれを更に上回る分厚い杏寿郎の掌や胸板に、逃げ道を失ってしまう。


「っはァ…なん…急、に」

「止める気はないと言ったはずだ」

「で、も…此処じゃ…」

「此処では嫌か?」


 杏寿郎の膝頭が蛍の腿を割り内側に入ってくる。


「このまま布団に行けば水浸しにしてしまうだろう?」

「…ぁ…」


 脱衣所に置かれていたタオルを取ると、ふわりと蛍の体を包み込む。
 柔らかな繊維に体が包まれる心地良さに蛍の体が反応する前に、今度は恭しい口付けが舞い下りた。


「ん…っ」


 柔く上唇を食み、ちゅ、と音を立てては離れる口付けを繰り返す。
 やがて深く繋がると今度は蛍の口内一つひとつを味わうように、肉厚な舌が優しい愛撫を繰り返した。


「ふ…っぅ…」


 壁に手首を縫い付けていた杏寿郎の両手は、頬を包むものへと変わっていた。
 その無骨な手に手を添えて、気付けば蛍も甘い唇の愛撫に酔いしれていた。


「蛍…もっと口を開けてくれ」

「は…んぅっ」


 熱っぽい囁きに促されるまま口を開けば、甘い愛撫の密度が濃く変わる。
 ちゅうっとすぼめた唇で舌先を吸われて、足腰が震えた。

 それでも崩れ落ちなかったのは、杏寿郎が割り込ませた膝で体を支えてくれていたからだ。


「っ…!?」


 同時に、ぐりっと膝で押された刺激にびくりと腰が跳ねる。
 今まで感じたことのない感覚に蛍は目を見開いた。

/ 3631ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp