第20章 きみにより 思ひならひぬ 世の中の
「でも…っそこ、は…もう、」
「む?」
「何も、準備できて、ないし…」
「準備?」
「うん…ぉ…お尻は、その…繊細なところだから、色々、丁寧にやらなきゃ、で…」
「っ痛かったか? すまん」
「そ、そんなことは、ないんだけど」
寧ろ気持ちよかった、と告げそうになって寸でで呑み込む。
実際に腸の洗浄や、秘部に比べて十二分過ぎる程に前戯で解しておかなければならない注意はある。
鬼故に洗浄など必要ないとも思ったが、杏寿郎の為にも清潔さは欠かせず後者も見逃せない。
「ちゃんと、準備するから」
「…蛍が?」
「うん。杏寿郎を、受け入れられる、準備」
恥ずかしげにでも告げれば、杏寿郎の見開いた双眸が尚開く。
じっと蛍を見上げていたかと思えば、ゆっくりと腰を上げて後孔の前から顔を退いた。
「…わかった。名残惜しいが、負担をかけるのは蛍の体だ。知識の浅い俺に無理矢理つき合わせる訳にもいくまい」
「う、ん…っ?」
ほっと胸を撫で下ろそうとすれば、つぷりと後孔に杏寿郎の指が潜り込んでくる。
ひくんと顎を退いて、蛍は驚き杏寿郎を見た。
「だから今日は"俺自身"で責めはしない」
「ぁ…っ」
「だが繋がらずとも、慣らしておく"準備"は無駄にはならないだろう?」
「ぁ、ぅ…っ」
杏寿郎の唾液で繰り返しふやかされた後孔は、すんなりと太い指を受け入れていた。
更に奥へ、奥へとゆっくり這い進む指の動きに、蛍が熱い息を呑む。
「っあッそこ、一緒にしたら…ッ」
「いけないか? 蛍には余すことなく気持ちよくなって欲しいんだ」
「きゃぅッ」
一度も触られていなかった蜜口の上の小さな肉の芽。
散々快楽に翻弄された末、ぷくりと充血したそれを前に回る杏寿郎の指が摘まむと高い声が上がってしまう。
「これでも我慢は限界なんだ。俺自身で暴けないなら、それ以外で蛍を暴かせて欲しい」
耳元に荒い息がかかる。
低く囁く声には余裕がなく、両手の責めにもその気配が伝わってくるようだ。