第20章 きみにより 思ひならひぬ 世の中の
深く息をついて、抱えていた脚をゆっくりと下ろす。
「蛍…」
「…ん」
後ろから抱きしめるようにして支えたまま、優しく啄むような口付けを蛍へと向ければ、力なくも応えてくる。
ぴくりぴくりと小さな余韻を残す姿が愛らしい。
「大丈夫か…?」
「…だい、じょうぶ……おなか、あったかい…」
「…俺もだ…蛍と、ひとつに混じり合っている気がする」
身も心も。
できればずっと浸っていたいと思う。
しかし此処は身を横たえて寛げる布団の中などではない。
いくら支えていようとも、蛍を立たせたまま被さり続けるのも気が引ける。
名残惜しくもゆっくりと腰を退けば、ふるりと蛍が小さく震えた。
「ぁ…」
杏寿郎という栓を失くした蜜口から、重力に従い腿を伝う白濁色の子種。
最奥に放ったと言うのに、一度目ならず二度目までもそんなに大量の欲をぶち撒けたのかと我ながら驚きはしたが、納得もできた。
弟の千寿郎に情事を悟られぬよう、余計な熱は出し切ろうと一人厠へ向かったが、一度抑え込んだ熱は放出できなかった。
何度も鬼殺で猛る熱を一人、耐え抜くことで抑えてきた賜物か。
お陰で軽く身を清めるだけで済んだが、解放しなかった熱はそのまま体の中に抑え込んだ。
結果、この有り様なのだろう。
一人だと耐えきれるものが、蛍を前にすると堰を切ったかのように溢れ出す。
(…本当に、蛍のこととなると節操がないな…)
そんな自分が情けないとは思わなかった。
千寿郎にも涙ながらに言われたのだ。
それだけ何を差し置いても欲しいと思える女性ができたことが、喜ばしいと。
「足元が汚れてしまうな」
「ん…っ」
愛液とは別のもので、ししどに濡らした蜜口に指を這わす。
零さないようにと掌で包み込めば、壁に顔を押し付けたまま蛍が耐えるように声を細めた。
「今、触っちゃ、だめ…」
触るなと言われれば、触りたくもなるもの。
寧ろ言われなくともその欲は元からある。
頬だけでなく頸も背中も桃尻も、高揚したかのように赤らめる蛍の肌に、舐めるような杏寿郎の視線が向く。