第20章 きみにより 思ひならひぬ 世の中の
「あッひ、ぅッ」
突きは決して激しくはない。
しかし杏寿郎の亀頭が子を宿す部屋の入口に触れる度、蛍の視界はちかちかと小さな火花が瞬き、体が戦慄いた。
煮え滾るように体の奥底から熱くなり、子宮が疼く。
「あぅッあ、だめ、ぇそれ…ッ」
ひと突きされる度に脳内が痺れ、全身が跳ねた。
「おく、きも、ち…ぁッ」
「っは…俺も、だ」
「ぁッあ…!」
「く…っ」
きゅんきゅんと締め付けてくる蜜壺は、杏寿郎の欲を強請るかのように。熱も快楽も全て呑み込もうとする蛍の中に、杏寿郎は太い眉を寄せ上げた。
「蛍…っこのまま、奥に…っ子種を、注ぎたい」
「んッだし、て…ッ」
息も絶え絶えながら、それでも蛍は聞き逃さなかった。
揺さぶられながらも振り返り、涙を湛えた瞳で切望する。
「杏寿郎、の…子種、欲し…ッ」
その声に、その瞳に求められただけで、どくりと体中の血管が沸くようだった。
柔らかな股関節をぎりぎりまで曲げて、片腿を高く持ち上げたまま奥へと陰茎を捻じ込む。
激しい律動ではなく、子宮口を愛撫するように小刻みに奥へ奥へと刺激を送れば、蛍はより高く鳴いた。
「は、ぁッあん…!」
「蛍…」
「ふぁッあ…!」
「蛍…ッ」
絶頂の波は一度ではなかった。
一度、二度と、荒い波で押し流すかのように、蛍の体と頭を快楽が支配する。
視界が一瞬、真っ白に塗り潰されるような錯覚。
それは果たして月明かりの所為なのか、浮かされる熱の所為なのか。考える余裕もない。
体の奥底を暴かれる気持ちよさと、そこに注がれる熱い子種を感じて、足先にぎゅっと力を込めると何度も体を震わせた。
強く腰を押し付けたままようやく杏寿郎が動きを止めた時、蛍は力なく壁に縋り付いたまま支えられることで辛うじて立ってる状態だった。