第9章 天からの贈り物
『今回は組合の方にも手伝い事が出来ちゃったから中立の立場になっちゃったし、どこの組織に何の情報も漏らせないし漏らすつもりもない…何もしないのが、一番穏やかにこの抗争を終わらせられる方法だから』
「……随分な自信だね。そんな自信がどこから来るんだい?」
『自分の観察眼と周りを信じてるだけ。信じるに値する程までにはちゃんと組合の皆さんのことを見て、性質まで分からせてもらったから…あとは経験と、私の考え方をここまで柔軟にした人との…これもやっぱり経験』
戦闘における私の考えの基盤を作った、忘れられない大切な人。
私を生んだ、大切な人。
もう会うことの出来ない…踏み入ることさえ許されない、あの世界。
中也さんの考えを引用すれば、それがあったからこそ今回の抗争でも、何とか役に立つ事が出来るんだ。
今この時にここにいるから、出来ることがあるんだ。
「組合に来てからそんな事まで考えてただなんて……本当蝶ちゃん末恐ろしいわ」
『よく言われます。だけど、何をするにもやっぱり情報と準備が必要ですから……こう見えて私、科学者の娘で助手でしたからね』
私の言った科学者というのが人体実験を行っていた男だと思ったのか、一瞬立原とトウェインさんは顔を顰めた。
しかし娘や助手という単語に違うと気付いて、中也さんと三人でまた首を傾げる。
『生みの親が変わった科学者だったものですから。…………なんでこんなのを産んじゃったんだろうって思う時もあったけど、まあこんなのでよかったのかもしれないね』
声を小さくして中也さんの方にくっつくと、それが聞こえたのか何かを察して笑ってくれた。
「成程?そりゃあ蝶ちゃんも変人じみた子になるわけだ」
「科学者の助手が頭きれんのは分かるけどあんな強いとかチートだろ、チート」
『私が強いんじゃなくて周りが謙遜しすぎなだけでしょ。中也さんなんて見てみなよ、私の事認めてはいるけど結局まだまだ自分より弱いって』
「だってお前より強くならなくちゃいけねえんだから当たり前だろ?」
プクリと頬を膨らませると、楽しそうにそれをつつかれた。
『それにしても変人か…トウェインさんには言われたくないかなぁ』
「ひっど!?」
『私の周りの常識人とか片手で数えられる程もいないし』
幹部は?と立原に聞かれて少し微笑んでそれに答える。
『これまでで一番変な人!』
