第9章 天からの贈り物
ここから考えられる組合の手立てといえば、Qちゃんの呪い以外を考えて、もう一度体勢を立て直して攻めてくるか……或いは拠点を使って街ごと焼くか。
前者の方がリスクは少ないものの、それだと休養に時間のかかる人間が多すぎる。
それにフランシスさんが仲間思いな人である事など分かっているし、にも関わらずにまだ引き返さないということは、とっととケリをつけたいからだ。
娘さんの命を取り戻したいという願いはきっと、単にそれだけが目的ではなく、もう少し違った事情が深く入り混じっているのだろうから。
人が死んだからその命を取り戻したい…人が死んだだけでそんな発想に至るとは到底思えない。
余程の苦しみか何かがあったからこそ、本を探すまでに至ったのだろう。
だから、私の中で思い描ける組合の手段としての残りは後者のみ。
そしてQちゃんの事は、どうせすぐに太宰さんが助けに向かう。
作戦参謀さんの作戦書であの人の事が出てきていたのならばまず間違いない……だから組合は罠を張った。
しかし甘い、まだまだぬるい。
作戦参謀さんでも、知らない事を予測することなど出来はしない。
中也さんは確かに言っていた、探偵社と共闘する方向に進みそうであると…しかしポートマフィアがへりくだって交渉をするなどありえないこと。
だから、太宰さんがQちゃんの救出に向かう時………恐らくそこを狙って、首領は最大の利府を、探偵社に先払いする。
チラリと中也さんの方を見ると向こうもこちらに気が付いて、ニコッと笑えば首を傾げられた。
『大丈夫だよトウェインさん、心配しなくてもこの抗争…もう誰も、死にはしないから』
「「「!!!」」」
私の言葉に再び三人ともが硬直する。
大丈夫、組合が……フランシスさんが捨て身の手段をとったとしても、私が絶対死なせない。
私が中也さんの助けが来るまで組合の拠点にいるのはそのためなんだから…きっと誰も、死なせない。
「蝶ちゃん…君、いったいどこまでの事を予測して……?」
『えぇ…それ言っちゃったら面白くないじゃないですか?私は、後は周りを信じて見るだけですよ……私はもう、組合があの大量の作戦書の中からどの作戦を実行せざるを得なくなるのか分かってます。ポートマフィアや探偵社の方も同様に』
「!そんなところまでっ!?」
『でも私は今回動かなくても、後は皆が終わらせてくれる』
