第9章 天からの贈り物
トウェインさんに言ったのをそのまま聞いたのか、随分と機嫌よさそうに私に笑いかける中也さん。
『…今はね』
「!……そうか、偶然だな。俺もお前をこのまんま飼い猫にしておくつもりはねえ」
『……どういう事?』
中也さんの言っている言葉の意味が分からずに、中也さんの方にまた顔を向けた。
私が今はと言ったのは、勿論組合との抗争が一段落したら、帽子を渡すのと一緒に告白するつもりだからである。
ただ可愛がってもらうだけでも大好きだけど、やっぱりこの人の特別になりたいから。
「どういう事って…お前は猫じゃなくて人間の女だろが」
中也さんの発言に目を丸くして黙り込む。
当然のことといえば当然のこと。
しかしこの人は今、確かに私を女だと言った。
人間だろ、で区切ったっていいはずなのに……今までそんな風に言う事、普通では無かったことなのに、私に向かって性別を意識させるような事を言ったのだ。
「それなりの扱いをしてやらねえと、甘えたな蝶さんはすぐにまた寂しがって泣いちまうからな?」
『…………私の事泣かせるの好きなくせに、よく言いますよ』
照れ隠しにギュ、と抱きつけば、軽くそれも受け止められる。
「だから人聞き悪いっつってんだろ。それにいいじゃねえか、嬉し泣きは…俺がお前の事、一生大事にしてやるよ。寂しがり屋で泣き虫のお前は、俺がいなくなったら誰にも泣きつけねえだろうからな」
『またキザなこと言ってる…かっこつけ。言ったんだから、約束ちゃんと守ってくださいよね?』
「おう、任せとけ。もし俺が破るような事があったら、そん時ゃ殴って蹴って、ボロカスにして怒って目ぇ覚まさせてやってくれ」
私がそんな事出来るわけないでしょ、と言うと、してくれなくちゃ俺が困る、と自分勝手に笑われる。
『んー…じゃあね、私も約束。中也さんが何しても、私も中也さんの事大事にするよ。中也さんの事、全部全部大事にする』
「そりゃ頼もしい、信頼度抜群だな」
『でしょ、一生大事に想うからね』
私の一生という言葉の重みを知る中也さんは、私の言葉に目を一瞬見開いた。
そしてすぐに嬉しそうにクシャリと笑って、またいつものように私の頭を撫でる。
「言ったからな」
『中也さんが一生をくれるんなら、同じだけちゃんとお返ししなくちゃ』
「何だそれ、プロポーズみたいだぞ」
『プッ、どっちが』
