第9章 天からの贈り物
『わ、私…心配性になっちゃったみたいで。……ああいう目、向けられるのが怖くって…それ、言うのも怖くって………なんか、どこにもやれなくなって』
「昨日の野郎共の話か」
首を控えめに縦に振ってから顔を俯かせた。
『さっき刑事さんにも聞かれたの、なんで反撃しなかったんだって。それ聞かれて、人に怖かったって言うのが怖いって思った…立原があそこをたまたま通って助けてくれなきゃ、どうなってたんだろうって想像して……っ』
「…俺に言うのも、怖いか」
抱きしめながら、背中を撫でながら、ゆっくりと問われる。
それに応えるようにううん、と言いながら私も腕を回し、甘えるようにすがりつく。
『中也さんは大丈夫だから…………だから、早くここに来たかったの。中也さんのとこに行きたかったの』
「そうか…素直に俺んところに来れただけ成長したよ、偉いぞお前」
普段私を褒める時よりも優しく、柔らかく頭を撫でる。
…そうか、私が頼るのが、嬉しいんだ。
素直に一緒にいたかったって、ちゃんと口にして中也さんを頼ったのが、中也さんも嬉しかったんだ。
『ん…中也さん、もうちょっとだけ……』
「ん?…はは、お前も大概好きだよな……結局半分は甘えただったっつう事か?」
『中也さんとこきたらそうなった。…ねえ、まだ?』
「んな急かすなって、すぐしてやっから……____」
再び触れるだけの口付けを交わして、何度も角度を変えて吐息を漏らして、甘く甘く、蕩けていった。
きっと私は、この人に見捨てられないだけで、大事にしてもらえるだけで、他に何があっても生きていける。
怖い事があっても、それがどんなに小さな事でも、私が言ってくれるのが嬉しかったと伝えてくれるから。
自分がいればお前は何も怖くないだろうと、俺がいれば大丈夫だろうと、何度でも伝えてくれるから。
大丈夫にしてくれるから。
「……にしてもこの耳ついてんのもたまにはいいもんだな」
『!?…い、いいもんって……おかしい!?やっぱり変ですよね!!?』
「いや?正直これから毎日それでもいいぜ俺は」
余程気に入ったのかなんなのか、頭を撫で付ける中也さん。
『な、なんか猫耳に負けた気分……』
「まあでも、今日以降は暫くつけねえでほしいかな」
『!……な、なんで…?』
「あ?………お前は俺の可愛い愛玩動物なんだろ?蝶さんよ」
