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第9章 天からの贈り物


夏休みということもあってか何回か来たことのあるケーキバイキングも、普段より人が混んでいた。
カップル層は勿論、子供を連れた家族や……女子小学生、中学生、高校生、そして大人のお姉さん…女の人達だけで来ているグループがなんせ多い。

『…』

聞こえる少し黄色い声。
本日何回目になるかわからないけど、何なんだこれは。

「ショートケーキ好きなの!?お姉さんが食べさせてあげよっか!」
「そっちもいいけどほら、シュークリームとかどう?ブラウニーもあるわよ!」
「ここはフルーツでも…!!」

『や、あの…ッ、私連れが……』

「「「ああああ可愛いいい!!!!」」」

何故だか私を餌付けしにかかるお姉さま方のもの凄い勢いに圧倒されて、ケーキを取るのも一苦労。
ていうか皿に取った種類のケーキをその都度周りの誰かも取って、フォークに刺して私に食べさせる。

見ず知らずの方々からそんな待遇を受けるとは思ってもいなかったのだけれど、ケーキは美味しいのでついつい頂いてしまう。
しかし……席に一向に戻れない。
ただでさえ食べる量が多くて取るのに時間がかかるのに、お姉さま方のおかげで全くそこから動けない。

『だ、だからそろそろ…』

「はい、モンブランどうぞ♪」

差し出されると断れずにパクリと食べる。
そしてそれを見てどんどん差し出されるデザートが増える。
……何だこれは。

湧き上がる謎の歓声の中、チラリと目に映った黒い帽子。

『!あ、あの私そろそろ席にっ……』

言おうとして、やめた。
デザートを差し出されたからではない。

人よりも少し目立つお洒落な装いを見てか、はたまたやはり私の思う通りかっこいいからか…中也さんに話しかけようと寄り添う女の人が数人。
いずれも中也さんと歳が近いか少し下くらいの、綺麗な綺麗な女の人。

比べて私は、彼と出会う以前から時間なんかずっと小さな頃のままだった。

もうちょっと早くから死ななかったら、私も今頃…

なんて暗く沈んでいたからか、お姉さま方からどうしたの?と心配され始める。

『い、いえ!なんでも…あ、これ美味しいですね。私もいっぱい食べようかな…』

とりあえず色々と誤魔化すために甘い物を使って笑っていると、近くまで来たのか、中也さんに話しかける女の人達の声が聴こえた。

お兄さんどこから来たの?一人でここに?
私達と一緒にどうですか?
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