第9章 天からの贈り物
一方その頃、モビーディックでは。
『いや!!!!』
「蝶ちゃん!!」
『やだ!!嫌!!絶っっっ対に嫌!!!!』
首輪をつけているため全力疾走で廊下を走り回るも、背後から同じくらいの速さで追いかけてくるトウェインさん。
「こら、好き嫌いしないの!」
『好き嫌いも何もそれ好きなのトウェインさんじゃない!!』
「だってルーシーちゃんが今日見つけたって言うんだもん!昨日のプリンに免じてつけてよ蝶ちゃん!!」
『絶対やだ!!森さんみたいな事しないでよ馬鹿ぁ!!!』
何も無いのならばこうはならない。
こうなったのはつい先程、ルーシーさんと一緒に食事を摂って、ばったり廊下でトウェインさんと出くわしたところからだ。
洗濯物の中に何故か紛れ込んでいたらしいそれをトウェインさんが見た瞬間に嫌な予感が迸り、すぐさま逃げる選択をした。
「絶対可愛いから!てか普段からこんな感じじゃん蝶ちゃん!」
『それは中也さんが勝手に…てかなんでそんなのが組合の拠点の中にあるのよ!?信じらんない……!!』
数十分走り続けてお互い息が切れていて、そんな中、ついにこの事態に終止符が打たれた。
まだ地理感覚の培われていないこの拠点の中を走り回っていたのがいけなかった、部屋に閉じこもった方がよっぽど勝算はあったのに。
行き止まり、それも細い通路で行き場もなく、トウェインさんはしめたといった顔でそれを私に近付ける。
『や、絶対やッ!!』
必死に首を振って抵抗すると、何故だかトウェインさんの動きが止まる。
「……これつけた写真見たら、中原君すっごい喜ぶと思『つけます』変わり身早ッッ!!」
突っ込みを無視してそれを受け取り、しかしやはり恥ずかしいため、唾をゴクリと飲み込んでから恐る恐る頭に装着した。
すると、トウェインさんが一言。
「おお…っ、やっぱり似合ってる……!!…………で、蝶ちゃん。それつけたらお約束だよね、やってくれるよね!日本ではあるんでしょそういうサービス!!」
『私日本人じゃないんですけど!!』
「ほら、自分でつけたんだしやってやって!また今日も何か甘い物食べに連れてってあげるからさぁ!」
甘い物という単語に釣られてついつい気分を良くして、遂に根負けした私はトウェインさんのリクエストに応えてしまった。
『……に、ニャ…ッ?』
「____何してんの…」
