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第9章 天からの贈り物


「中也になんかとても話せなかったろうし、そしてそれが恐らく更に蝶ちゃんからしてみれば苦しかったのだろう。気を遣って話せないのは何もあの子のせいじゃあなかったはずなのに、あの子はそれを正直にあのチビに言えない自分にも嫌気がさしていた」

「な、なんというかその…回り回って結局白石が自分で幸せになりきれない性質だという事にも納得がいったような気がする」

「うん、色々知ればあの性格にも納得だろう?でもそれと同時に、本当にあんな風に立派に愛らしく成長してくれたとも思う」

少々思うところもあるが、あの人の良さも戦闘センスも頭の回転の早さにもようやく納得がいった。

国木田君もやはりそこは疑問に思っていたらしい。
どうしてまだ十四歳の、それにあんなに可愛らしい小さな女の子が、あんなにも戦いの場に慣れているのか。

才能も勿論あるだろう、強さも勿論あるだろう。
しかし経験がやはりものを言う。

多分、彼女が零として名を轟かせる以前から、あの子は殺しをしていた事があったはずだ。

零は、あの子が自分の意思で生み出した殺し屋などではなかったのだから。
殺し屋に育てられたわけでも監視されていたわけでもなく、ただただ汚い大人の…あの科学者の思惑通りに無理矢理従わされていただけだったのだから。

「あああ、もうやってられん!ポートマフィアがどうだとかいうものまで今となってはどうでもいい…太宰、お前何か知っているだろう?」

「勿論さ、知っているからこそやる気が出ないのだけれど……大丈夫、森さんはここまでの事を知った上で、蝶ちゃんの事を溺愛してるただの蝶ちゃん馬鹿だから」

散々な口振りだがお前も対して変わらんぞと言われ、少しだけ傷ついたものの否定は出来なかった。

「ま、まあそれは置いておくとして…森さんはちゃんと停戦協定を結べるよう考えてるさ。言っただろう?蝶ちゃんの考えに敦君は影響されたんだって」

「!……まさか太宰、白石が…?」

コクリと頷けば、国木田君はようやく理解をしたようだぅた。

「あいつはどこまでの事を読んで行動しているんだ…末恐ろしいなんてレベルじゃない。沖縄で組合と出くわした瞬間からここまでの事を計算していたというのか」

「言ったろう、あの子はポートマフィア時代、幹部の私よりも上の役職に就いていたんだ。私の策士など正直言って彼女には到底及ばないさ」
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