第9章 天からの贈り物
「蝶ちゃんに彼を紹介してからは、個人的に二人で会うことも多かったらしくてね。余程お互い気に入っていたんだろう、本当の兄妹のようだった……私は今、その代理を務めているだけに過ぎない」
友の顔を思い出し、そしてあの頃蝶ちゃんが心を素直に開いていた数少ない人物であった彼に少しだけ嫉妬していたのも思い出す。
まあ蝶ちゃんは無意識だったのだろうけれど、本当に彼は私なんかよりもよっぽど多くの事を知っていたはずだ、聞いていたはずだ。
「代理?…まあ、確かにそう見えなくもないが、それならどうして白石はお前のところに来たんだ?そんなにも懐いていた相手なら、真っ先にそちらに行くのが人間の心情というものだろう」
国木田君に困ったように微笑みかける。
すると彼も何かを感じとったのか、眉間に寄らせていた皺を緩く解いた。
「彼は…小さな頃の蝶ちゃんが、中也や私以外にも懐いていた私の友は、今は蝶ちゃんとも会えないんだ。彼がいなければ私も今ここでこんなふうに生活はしていないだろうし、蝶ちゃんと仲良くなるのにももっと時間がかかっていたかもしれない」
「お前がそんなに賞賛する程とは、余程の器を持った人間だろう。まあつまりは、お前をポートマフィアから別の道へと歩ませる程の技量を持つ者だということは分かった…考えてみれば凄い話だが」
「うふふ、私の自慢の親友さ!国木田君は自慢の相棒だけどね!」
俺はお前のような男に自慢に思われたくなどない!!と見事な突っ込みを入れられた。
酷いなぁ、これでも本当に気に入っているのに。
だって前の相棒だなんて考えてみると…ああ、もうこれはやめておこう。
「まあ簡単な話、会えないって言うのはさ。旬職してしまったのだよ、四年程前に」
騒いでいた国木田君の声がピタリと大人しくなった。
「………四年前って、まさか…」
「ああ。蝶ちゃんが再び科学者の元に連れ去られてしまった時さ。中也が聞き出した話によると、やはり精神的なショックが大きかったらしくてね?」
更に加えて安吾は転職、私は行方も告げずに失踪…死亡した彼の事を誰かに話すとしても、どう頑張っても私の名前を出さなければならない状況であった。
それに私と中也は犬猿の仲である事で有名だ…彼女は誰かに話す事も出来ずに、ただ毎日が過ぎていくのを虚ろにみていただけだった。
「で、それが転じて捕まっちゃった」
