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第9章 天からの贈り物


そこには、少しの差しか存在していないと人は思うのかもしれない。
しかしあの子のことを知れば知るほど、理解すれば理解するほど、あの子の中での中原中也という存在が、他を圧倒的に超越した何かであるという事など明白であった。

私の想像もつかないような経験をしてきた彼女だ、私が知らないことのほうが断然多いに決まっている。

今まで長い間死ねずにいて、人と関わることにさえ恐怖を覚えていたあの子が好きという感情を知った。
考えてみれば滑稽な話だ、何百年も生きてきていて、今になって初めて初恋だなんていう甘いものを経験しているだなんてこと。

しかしやはりそれは、彼女がようやく身体の年齢相応の少女になる事が出来た事の現れなのであろう。
あの子の中の一番が中也だということは…人と関わることすら躊躇っていたような彼女が恋愛感情を自覚して、一緒にいたいと願ってしまうということは……

「蝶ちゃんの一番は、恐らくもうこれまで生きてかかわり合ってきた人間の中でも軍を抜いて、そことは比べ物にならないほどに次元の違う存在のあいつだよ…さっき見ただろう?あの子が人に怒られて怪我をさせてしまっただけで、あんなに素直に泣ける人は他にいないよ」

「俺は正直、お前との恋仲を疑いかけた事もあったんだが」

国木田君の突然の返しに思わず吹き出して、慌ててどういう事!?と反応する。

「白石がお前を頼りにしているところしか、見たことがなかったからだ。しかしその話を聞いてしまってはどうも、そんな生ぬるい事を考えているのも白石に申し訳なくなってくる」

「…気持ちは私もよく分かる。だけど普通に接してあげてくれ、じゃないと蝶ちゃんは気を遣ってしまうから……まあ、受け売りなんだけどね?」

中原中也からのか?と返す国木田君に、盛大に顔を顰めてまさか、と返す。

「私があんな奴からの受け売りで誰かを諭すだなんてそんな事、地球が何回滅んでもありえない事だよ」

「なあ、お前奴に何か恨みでもあるのか?そんなに毛嫌いしてるのは中々に珍しいと思うんだが」

「ふんっ、あいつの話は蝶ちゃんからたっぷり聞けばいいさ…さっきの受け売りは、私の友の言葉だよ。恐らく私なんかよりもよっぽど、蝶ちゃんに寄り添えていたはずの」

「お前の友人?…お前よりも白石と親しくてお前の扱いに長けているのなら、是非とも我社に欲しいものだ」
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