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第9章 天からの贈り物


「そうだよな、あんなの、覚悟があったところで見れるようなもんじゃねえ」

「君は、あれを見ていったい何をそんなに思いつめて…」

「……あんなもんを受けてきて、ようやく幹部に救われて…そうかと思えばまた大人の勝手な事情に自分の気持ちを押し込んでしまうあいつにどうしようもなく悔しくなった…そして同時に、悔しくなった」

悔しくなった、それは組合との抗争において、自分が彼女の力に直接なれなかったことを意識しているのだろうか。
あの子は力がある故に、誰にも言わずに一人でなんでも解決しようと行動してしまう…そしてそれが出来てしまう。

「私も、彼女が連れ去られる直前に連絡を取っていたのだけど、防げなかったよ。それどころか昨日の一件についてもえらく助けられてしまった」

「…あいつの気持ちを考えると、痛ぇ程に幹部と一緒にいたいって、伝わってくるんだよ。本人は知らないらしいが、幹部はあいつの実験の全てを知っているって言ってたし」

立原君の言葉にピタリと思考が一瞬停止した。

「……中也が?実験の全てをって…まさか、あんなデータを全て見たというのかい、あいつは?」

「!あんたでも知らなかったのか?幹部は書面と同時進行で画像も音声も映像も見ていったと言っていた。蝶を拾ったその日から、ただひたすらに見続けていたと」

「大したものだ、あんな奴にこんな事を思いたくはないが…本当、つくづく蝶ちゃんの事しか考えていない」

あんなものを全て見て、並の精神でいられるわけがない。
そんな事、少し見ただけでもわかる話だ。

特に中也なら…あいつは、蝶ちゃんに惹かれて連れ帰ってきたはずだ。
少なくとも初めてあの子を連れ帰る前から、ずっとあの子をどういう気持ちであれ想い続けていたはず。

そんな相手の…そんな、愛しい大切な相手の残酷な扱いを受ける姿を見続けられたというのか、あいつは。
愛だとか想いだとか、そんな生ぬるいものの話じゃない。

「…昨日の夜中に、蝶の奴が貧血になって、組合の方から輸血に来たらしい。本人は乗り気じゃなかったらしいんだが、何とか首領と幹部の手で元気にはしたと聞いた」

「あの子が貧血に?立原君はもうそこの事情も聞いてるんだね?」

「ああ、それは前に聞いてる。それで、今日幹部に聞いた話なんだが………あいつがやっと、笑ってくれるようになったらしいんです」
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