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第9章 天からの贈り物


「今日の夜、ですか?」

察しがいいのか悪いのか、ピンポイントにそこを突く超生物。

「それはまだ内緒です…谷崎君か国木田君か、殺せんせーを案内して差し上げて。昨日の晩もずっと組合の拠点を探し回ってくれていたから」

私の声に谷崎君が社長と殺せんせーを引き連れて戻っていき、その場には私と立原君と国木田君が残る。

「さて…話とはなんだい、立原君?」

「!何故俺の名前を?」

「蝶ちゃんが私に嬉しそうに話してくれたことがあったからね。ポートマフィアに友達が出来たって」

少ししてからフッと笑って、立原君は口を開いた。

「中原幹部に、あんたなら蝶の事をよく知ってるって聞いた事があってな……それでちょっとだけ話したいとは思ってたんだ」

そして次に紡がれる言葉に、私はともかく、国木田君が一番に驚くこととなる。

「あいつの…蝶の実験データを、ほんの少しだけ幹部に見せてもらったんだ。それもあんだけ膨大な量のうちのたった一つの実験の、書面だけ」

「!!…実験、だと……?」

「そこのあんたは聞いてねえか…言わない方がよかったのかこれ」

「いや、彼には私から口止めしておこう。それにしてもよく見れたねあんなものが、そしてよく今そうして普通にいられるね」

俺は書面を見た後に、綺麗な蝶の映像を見せてもらったんで。

そう言う立原君の顔は複雑そうだった。

「てか、あんたの口ぶりからしてみたら、やっぱりあのデータを見たことがあったのか?」

「ああ、勿論。だが映像なんかに至っては三つ程見てすぐに見るのをやめてしまったさ。職業柄ああいうのには慣れていたつもりだったが…何度も何度も可愛いあの子が死んでいく姿には、流石に耐えられなくってね」

「……太宰、それはどういう事だ?蝶の事だというくらいは俺にも察しがつく」

君には後で説明するよ、と国木田君を説得して、再び彼に目を向ける。

「や、やっぱそうだよな…?普通の精神じゃあ見れたもんじゃねえ、あんなデータ」

「君はいったい、あの中のどれを見たと言うんだい?」

ポツリと呟かれた、卵巣という単語。
それに私は目を見開く。

「君、そのデータを見たのかい?それは確か、中也が特別酷いもののフォルダに仕分けしていたはずだろう。私も見るのを断念したレベルのものだよ」

珍しく、自分の頬に冷や汗が伝う。
国木田君もそれに少し驚いていた。
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