第9章 天からの贈り物
「で、どうしてここに殺せんせーが?」
「いやあ、やはり白石さんの事が気になってしまって旅行どころじゃなくってですね?武装探偵社に行ってもポートマフィアに行っても知り合いと出会えなくて悲しくて…じゃなくってですね?」
今完全に悲しいって言ったよ、隠せてないよ殺せんせー。
「話は聞かせていただいていたんですが、双方共、まだ本命のお話が進んでいないように思えまして…ほら、私が出ただけでももう論争が始まるくらいに貴方達が大好きな、白石さんの事です」
殺せんせーの言葉にピクリと全員が反応する。
「私は正直、貴方達の事情に突っかかっていくつもりはありません。ですがそこに白石さんが絡んでくるのであれば話は別ですし、私はあの子を助けるために尽力する義務がある」
早くお互いの持っているものを出してはいかがです?
そう言われ、首領も社長も興奮が収まったのか、再び冷静な話し合いが始まった。
「では、福澤殿。こちらには、白石蝶ちゃんの持つ発信機から信号を受信するためのパスワードを全て解除出来る人間がいます。本音を言ってしまえば、あの子にはうちの幹部の中原君と一緒にいさせてあげたいのですが…何分、発信機の信号を外部からキャッチされてしまうと、あの子の身が心配だ」
「!どういう事だ」
「蝶ちゃんは今、敵の手中に身を置いている。そして組合も馬鹿じゃあない。もしも蝶ちゃんの発信機を無闇に使用して敵のレーダーにでも引っかかってしまえば…彼女が殺されてしまう可能性だってあるわけです」
組合からの待遇を考えてみたところ、それはよっぽどのことでしょうが。
森さんは笑っているようだったけれども、この人だって内心どう思っているのやら。
「それで、こちらはそうならないように…太宰君の手を借りたい」
「ふふ、言うと思いました。確かに私も蝶ちゃんのためには働きたい…ですが首領、流石にそれだけでは、私もあいつと……ましてや貴方なんかとは組めません」
それこそ森さんの言った通りに、先に裏切った方が得を得るような状況が仕上がってしまう。
まあこの人がどんな方法を使ってくるのかだなんてもう嫌な程に分かりきっている事だから今こう言っているだけなのだけれど。
あの真っ白な少女を、一刻も早くあいつと二人にさせてやりたい。
何にも気を遣わず、余計な事を考えないで、早く自分の幸せに貪欲になってほしい。
