第9章 天からの贈り物
昼下がり、指定した場所に現れるポートマフィアの首領。
黒蜥蜴の広津さん、立原君、銀ちゃんを連れてこちらの誘いに応じてきた。
ふぅん、中也はなしかい…まああいつがいちゃあ話が蝶ちゃんの話の一点張りになっちゃうか。
「ようこそ首領」
「四年ぶりだねぇ。私があげた外套は、まだ使っているかい」
「勿論……焼きました」
首領と軽く会話を交わすと、社長の声が響く。
「ポートマフィア首領、森鴎外殿」
その声に黒蜥蜴の三人は警戒を高め、反応する。
「武装探偵社社長、福沢諭吉殿」
二人は歩み寄って、また軽く会話を交わしてから、本題に入った。
「単刀直入に言う。探偵社のある新人が、貴君らポートマフィアとの同盟を具申した。私は反対した…非合法組織との共同戦線など、社の指針に関する。だがそれはポートマフィアに何度も撃たれ、切られ、拐かされた者からの提案だ」
言葉の重みが違う。故に組織の長として、耳を傾けざるを得なかった。
本当はそれだけが理由でないだなんてことは、恐らく森さんも分かっているはずだ。
中也が指輪を使うためには…蝶ちゃんの身を案じるのであれば、信頼出来る腕と頭を持つ人間が必要になる。
そこの狙いも、私だろう。
「結論を言う。同盟ならずとも、一時的な停戦を申し入れたい」
森さんは薄く笑みを浮かべてから、戦術論の研究家の名前をいくつか挙げ、それらを読んだことがあるかと社長に問い始める。
そして、国家戦争と非合法組織の抗争とには、共通点があると。
「協定違反をしても罰する者がいない。突然ポートマフィアが破ったら?探偵社が裏切ったら?損するのは停戦協定を信じた方のみ。先に裏切った方が利益を得る状況下では、限定的停戦は成立しない。あるとすれば、完全な協調だが…」
「それもありえない」
「その通り」
ポートマフィアは面子と恩讐の組織。
あちらの面々には、ポートマフィアに面子を潰された部下も多い。
しかし探偵社にも、何度も殺されかけた人間がいる。
「では、こうするのはどうだ…今ここで、全ての過去を精算する」
社長が刀を抜く。
危険を感じて社長に向かってくる銀ちゃんと立原君の武器を弾いて森さんに切りかかり、森さんもいつの間にか常備していたメスを取り出し、お互いがお互いの喉をかき切るすんでのところで刃をピタリと止めていた。
というよりは、止められていた
