第9章 天からの贈り物
「探偵社の脳といえばやはり乱歩さんだろう…まさか乱歩さんが?」
国木田君の言葉に馬鹿な事を言わないでくれと口を開く乱歩さん。
「僕がどうやって敵拠点からの新人の脱出の後押しなんて出来るのさ。馬鹿も休み休み言いたまえよ」
私と乱歩さんからの散々な言われ様に遂に国木田君は降参して、項垂れた。
他の人たちも考えてはいるみたいだけれど、流石にそこまでのものだとは思ってはいないのだろう、誰も気が付かない。
はあ、と一つ溜息を吐いて、探偵社内で久しぶりに、愛らしいあの少女の名前を口にした。
「敵に狙撃手がいるから空挺砲があるかもしれないと予測したのも、そのため街中にスモークと、出来たら飽和チャフまで用意してくれていたらいいかもしれないと提案したのも…敦君を一人で組合から逃がすよう後押しして、新しい策を与えたのも全てあの子だよ。……蝶ちゃんに決まっているじゃあないか」
私の言葉に乱歩さん以外の全員が表情を硬くして、冷や汗を流してこちらを見る。
「し、白石…ッ、そうだ、あいつはそろそろ南の島から帰ってきていてもおかしくないくらいの頃じゃないか!連絡も無しに何をして…」
「国木田君、彼女がそんなに無責任な人間でないことなどよく知っているだろう?さっきの言葉で分かっているはずだ…蝶ちゃんは今、組合の拠点の中だよ」
「!!…しかし太宰、白石はいつでもあの能力を使えば脱出する事など造作も無いだろう!?」
首輪…あの話は恐らくしない方がいい。
まああの首輪があったとしても、彼女ならばすぐに脱出する方法を見つけもする。
しかしそれすらしようともしていない事だなんて、チビの言っていた事から分かっていた。
どう足掻いてもこの戦いが終結するまであの拠点から脱出するつもりなど…抵抗するつもりなど、一切持って行ってはいないのだから。
「だから今私はやる気が出ないのだよ…蝶ちゃんが最初からああなのは知っていたが、それが上手く敦君にまで影響してくれたものだ…」
蝶ちゃんが捕まったというのに、とざわめき始める皆を落ち着かせるべく、口外するような人もいない上に盗聴器も敵の気配も全てここには無いため、直接話してしまうことにした。
「あの子がいつも首に付けてるあの指輪…あれは少し扱いは厄介だが、中に位置情報を発信する発信機が搭載されている。蝶ちゃんはその場所を知らせるために捕まったんだ」
