第9章 天からの贈り物
そこにはトウェインを盾にするようにして顔を赤くしたまま俺を睨みつける蝶が……って、
「まてまてまてまて!蝶!?」
『ち、中也さん危ない』
「蝶ちゃん…!そうだよ、危険なんだよ!」
「危ないとか紛らわしい言い方覚えてんじゃねえよ!!」
自業自得、ではあるのだが、かなり悔しい。
行くわけがないだろうとたかをくくっていた分更に悔しい。
しかし蝶の顔を見ていると、あいつもあいつで本当にはずかしかっただけらしく、真っ赤なまま目を伏せてしまった。
「蝶ちゃん、中原君にいつもこんな意地悪を?」
「年齢考えて手出して欲しいよね!?するんならせめて二人っきりの時とか、甘えやすい時ってあるよね!?」
二人の言葉に恥じらいながらもコクリと頷いた蝶にどうしようもなく可愛く思って、そうこうしている内にも俺の身体はあたたまっていた。
蝶、と名前を呼びながら立ち上がると蝶は俺から隠れるように顔を逸らす。
「本当に貧血まで治ってる…」
「蝶ちゃんすごいね、こんな風にすることも出来るだなんて知らなかった」
二人の声に凄いだろうと、何故だか俺の方が蝶を自慢したくて得意気になる。
ツカツカ歩いてトウェインの背中に隠れる蝶の元まで行き、頭の上に手をのせた。
『ッ!』
「ありがとう、助かったよ」
ポンポン、としてから手を離してリビングに向かおうとした。
が、しかしそれを止められる。
クイ、と離した手を控えめに引かれて、何かと思いきやそちらを見れば、蝶が両手で俺の手を持っていた。
「蝶…?どうした」
優しい声色で聞いてやると、ゆっくりと口を開く蝶。
そんな動作でさえもが愛おしい。
俺がこんなに穏やかな顔や声になれるのも、優しくなれるのも、せいぜいこいつの前でくらいだろう。
首領もトウェインもまた驚いてる。
『ん……私の方が、ありがと…』
「おう、どういたしまして…んで?俺は今からリビングに用事があるんだが、どうしたいんだ蝶さんよ」
手を握って離さずもじもじしている蝶にこちらから聞いてみせる。
まあ大体察しはついてるが、こいつの場合はまだ血が足りてるのかどうかも分かんねえし、顔色が戻りきったわけでもなさそうなんだよな…
『…もうちょっと、一緒いたい』
「そ、うか…でもお前、まだちょっとしんどいだろ?せめて椅子もってこい」
『!はぁい…っ』
