第9章 天からの贈り物
「おお蝶、目覚めたか。悪いな起こしちまって」
『目、覚めたかじゃないですよっ…またいっぱいとったんですか!?なんで、なんでそうやって……』
泣きそうな顔でゆっくりこちらに寄ってきて、俺の目の前でしゃがむ愛しい少女。
「悪い、けどお前がなんとかしてくれんだろって思ったからいっぱいやれたんだよ」
頭を撫でてやるとやはり何も言えなくなったのか、涙目のまま俺の目を見る。
「蝶ちゃん、中原君は今動いていいような身体じゃない。君がよく身をもってわかってると思うが…寝台の上に横にならせてあげてくれ」
「!首領、でもそれだと…っ」
「でもも何も、君がしんどそうにしてると蝶ちゃんが一番悲しくなるんだから大人しく寝てなって!」
首領の声に従ったのか突然景色が切り替わって、見るとそこは元いたソファ…ではなく、蝶のベッドの上だった。
「蝶!?お前なんでここにっ…」
そして俺を下にして蝶が上から顔を覗き込むように覆いかぶさり、気付いた時には目の前に、少し前に見た紅い蝶。
「…………そういう事か。ありがとう」
『…馬鹿、私の事信用しすぎ』
「だってお前だしよ。してもらえっと俺は元気になれっし気分もよくなって輸血前よりぴんぴんできるしな」
『もう…』
茶化すように笑えば、蝶は手の甲の上に血液をのせ、これをペロリと控えめに舐めとる。
そんな姿にさえゾクリと欲情しかける俺も、大概こいつに溺れてる。
それを抑え込んで顔を近づけてくる蝶に悟られないよう目を瞑り、人の目も気にすることなくそいつからの口付けを受け入れる。
後頭部に手を回して可愛がるように耳と首筋を擽ってやれば、やはり相当効くのかすぐに口を開いて驚きを見せた。
その開いた隙間から垂れる唾液と血を口の中で受け止めて、それでもまだ足りないというように蝶の口内に舌を侵入させ、まだ少し舌に溜まっている蝶の血液を舐めとる。
『ンンッ…ッん、っ……ッ!?』
流石に血液を飲ませている最中に反撃してくるとは思っていなかったのだろう、相変わらず可愛い反応を見せてくれる蝶に、俺の中のいたずら心は満たされた。
「…はッ、ごっそーさん。美味かったぜ」
『ぁ、ッ……んんん…っ、…』
「って答えられねえか。本当、お前猫みてぇだけど弱ぇよなそこ」
ウリウリと手を動かし続けていると、流石に怒ったのかベシッと手をはたかれた。
