第9章 天からの贈り物
蝶の点滴を外した首領はあと作業に入り、俺は大人しくしていろとそのまま蝶の隣にいる。
「ぜ、全部って?」
そして恐る恐るといった声色で聞いてくるトウェインにため息を漏らして、阿呆な頭でも理解出来るよう事細かに説明していってやった。
「だから、全部の実験の、全部のレポートだよ。文書も勿論全て目を通してわかりにくい部分は調べ尽くしたし、画像データも音声データも勿論……ちゃんと映像まで全て見て理解はしたつもりだ」
「ま、まさかそこまでしてたなんて…いや、全部?君、蝶ちゃんがされてる事を全部見てきたっていうのかい…?」
「じゃなけりゃ日常生活でこいつの事怯えさせちまうだろうが。ただでさえちっせえ頃は色々と大変だったんだ…こいつには俺から話すから、何ももう言うんじゃねえぞ」
うん、と了承はするが、それでもやはり相当驚いている様子だった。
なんだこいつ、立原みてえな奴だな。
「まあ、それでも全く理解出来ねえ単語とかはあったけどな。いくら調べたところでこの世のどこでも聞いたことがねえような単語や画像もあったし…ま、それもたった今ちょっと理解を深められたところだ」
「え……えっ?」
「悪いな、うちの蝶は手前にもやらねえよ」
「!……ねえ、もしかして君さ。蝶ちゃんの気持ちに気付いてた?」
今度はこちらが驚く番だった。
馬鹿みたいな性格のくせしてなんて勘の鋭さだ…いや、これも蝶を意識してのことか?
「本当にそこと向き合ったのはここ数ヶ月だけどな…そんな気がちらほらしてたのはまあ、前といえば前からだ」
「そう…そっか。うーん……じゃあ僕もそろそろわがまま言うのやめちゃおっ、今回の戦いがどういう結果に終わろうとも、蝶ちゃんは君の元にかえすよ」
「!手前、なんでまたいきなり」
いきなりっちゃいきなりだけど、実は薄々考えてたんだよと返される。
「ほら、蝶ちゃんかなり色々溜め込んじゃうけど周りに吐いてくれる子じゃないし、君がいないと正直本当に死んじゃうんじゃないかってくらいになってたし」
「記憶なくなったり早速こんなバテてっし食欲不振にもなってんもんな」
「ああもうごめんってば!!…じゃなくって、何かあっても君がいないと、輸血も出来ないときたし!……何より君達、最初っから馬鹿みたいに両想いなんだからさ」
こいつは本当に蝶の事が好きなだけなんだろう。
人がいい。
