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第9章 天からの贈り物


首領はすぐに俺から輸血用の針を引き抜く。
毎度思うが、本当にこの人の腕は確かで、現役の医者でも申し分ないのではないかと思える程に手際がいいのが俺にも分かる。

「…ッ、ありがとうございます」

「うん、お疲れ様…それにしても中原君も、蝶ちゃんの前じゃあかっこつけるの大変だねえ?いくら痛くなりにくい刺し方をしたところで、輸血用のものはかなり効くだろう?」

「ははっ、かっこつけるもなにも、俺が痛がってたらこいつがマジで怖がっちまいますからね…かっこいいって言ってもらえた分寧ろ得した気分っすよ」

首領に冗談めかして本音を言えば、トウェインの顔がみるみる焦りの色を帯び始める。

「君本当にどこまで見越してんのか逆にこっちが怖くなってきたよ」

「そうか?悪いが俺は頭ん中が常にこいつでいっぱいだかんな、それ以外の感覚が分かんねえんだわ」

「うっわぁ絶対言うと思った…で?本人は相当気にしてたみたいだから勝手に僕の予想を伝えてきたんだけどさ……君、実は蝶ちゃんの実験データ、見たことあったでしょ」

こいつが蝶から聞いた話は、恐らく今日の昼間…というか夕方の話だろう。
ここに蝶を連れてきた時も相当説得したらしかったし、俺の事を言えないくらいには軽く蝶の事をよく考えている奴だとは思う。

「あ?まあ、勿論見はしたぞ…ありゃ見ただけでも軽く精神的にトラウマんなるくれえのレベルのもんだったがな。もう映像だけは見んのも勘弁だ」

「!本当に見てたんだ?卵子の事を聞いて驚きもしなかったのをかなり気にしてたからそうなんじゃないかって聞いたんだけど……で、どこまで見たの?」

どこまでってどういう事だ?と聞き返せば、蝶が言うには文書と映像、画像、音声のデータは全ての実験で記録をとってあるということだったらしく、実験の内容もどれを知られているのかが気になっていたという。

「ああ、まあ確かにかなりの量だったな。実際ちゃんと見きるのにはかなりの時間がかかったよ」

「蝶ちゃん、まともな精神じゃ見れたものじゃないはずだって言ってたし、本人が少し漏らしてた情報聞いただけでも僕身震いしたくらいなんだけど…で、どれくらい?」

「は?何言ってんだ手前、だから見きるのに時間かかったっつったろ」

言えばキョトンとこちらを見るそいつ。
なんだ?こいつ馬鹿なのか?

「どれくらいって、んなもん全部だよ全部」
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