第9章 天からの贈り物
「にしても…」
本当に綺麗な奴だ。
群を抜いて目を引くのがこの髪と今は閉じられてしまっている目…俺が小さい頃に綺麗だと言ったのがよっぽど嬉しかったのかなんなのか、蝶はこれまで髪を揃えたりケアする以外の目的では、一切髪を切ってはいない。
流石にこの長さにもなると毛先の方から傷んだりしてもおかしくはないだろうがそれも無く、そこにもやはり蝶特有の女性らしさというか、神秘的なものを感じる。
つうか傷んだりしてたら全力で治すけどな、俺が。
他の誰かに弄らせてたまるもんか、傷ませたりなんざするつもりも更々ねえぞ、俺が。
なんて、こんな事ばかり考えっから親バカとか言われんのか、と項垂れつつも、本当に綺麗な目の前の少女を撫で続ける。
お前が撫でられるのが好きなのなら、飽きても俺が撫で続けてやろう。
お前が名前を呼ばれるのが好きなのなら、いくらでもその名を呼んでやろう。
お前が抱きしめられるのが好きなのなら、痛いくらいに抱きしめて離さないでいてやろう。
お前がキスをされるのが好きなのなら、溺れるほどに深く、甘く、心地よいものをしてやろう。
お前が俺を好きなのならば…俺がお前の一番なのならば。
「……俺がお前の支えになろう」
『ん~…………ちゅやさ…』
「!…ビビった……んだよ間抜け面。夢ん中でも俺が大好きかこの野郎、どんだけ好きなんだよ」
ニヘラ、と笑いながらもやはり手に擦り寄ってくる蝶に満更でもなくなってきて、結局また蝶の頭を撫でてやった。
そしてそうやってしている内に家の外から人の気配がして、ガチャリと音がしたかと思えば首領達が戻ってくる。
蝶を腕に抱いて撫でてやっているままの状態だが、折角こいつがこんな穏やかな顔して眠ってんだ、もうちょっとくらい一緒にいてやってもいいだろう。
「戻ったよ~…って何してんの中原君!?君、誰もいないからって蝶ちゃんを……」
「馬鹿、手前蝶が起きちまうだろがっ、声落とせ声!」
言えば騒がしかったトウェインも大人しくなって、すぐに自分で口を塞いだ。
「おやおや、蝶ちゃんが輸血中にこんな顔して寝られるだなんて…時間も時間だが、何かよっぽどいい事があったんだね。一体何をしたんだい?」
「!何って…まあ、ちょっとあやしてやってただけっすよ。いつもの事っす」
「ふむ……まあいいぐらいの時間だし蝶ちゃん寝てるし、針抜こっか」
