第9章 天からの贈り物
目を柔らかく閉じて今までに見たこともないような幸せそうな顔をして、この人はまた、私の予想もしていないようなあたたかい言葉を残していく。
『ちゅうやさっ、…そ、んなッ……』
「お前がお前で生まれてきてくれて、俺は本当に幸せだよ。こんな気分は趣味や好きな事なんかじゃ味わえねえし、そこらの奴と一緒にいたって普通ここまで幸せになんかなれねえさ」
『ま、たそんなこと言っ、て……ッ、さては中也さん、私の事泣かせるの大好きですね…?ほんと、意地悪なんだか…らっ』
人聞き悪い言い方してんじゃねえよ、俺は思った事を言っただけだ、お前が一番よく知ってんだろ?と、そうやってまた私の涙を止まらなくさせて。
中也さんの腕に頭を少し引き寄せられて、中也さんのおでこと私のおでこがくっつけられる。
「その上蝶はこんな綺麗で可愛らしい奴だからな…どこかに手放そうとなんざ思いもしねえよ。ただでさえ大事に思ってんのに、そんな奴に自分が一番だなんて言われてみろよ?これはお前も経験あるんじゃねえのか」
『!…ん、嬉しかった。幸せ、になった…っ』
「だろ…ほら、俺は結局、どうしてもお前といるのが一番幸せなんだよ。お前はその身体で苦しむ事も色々あるが、それもひっくるめてそうじゃなかったら俺はお前と逢えてなかった…ありがとう、ここに来てくれて」
『…あり、がと……私も、ありがとう…ッ』
何が、なんて言いたい事が多すぎて、溢れかえって言葉に出来なかった。
私を攫ってくれて、育ててくれて、名前をつけてくれて生きさせてくれて…一番だって、大切だって。
私と過ごして、私と出逢えて幸せだって言ってくれて。
生まれてきてくれてありがとうって、私の事を受け入れた上でそこまでの事を思って、伝えてくれて。
「おう、そう言ってもらえっと俺も嬉しいよ…なんだァ?泣き虫は相変わらずだな……今までに泣いてこれなかった分も、笑ってこれなかった分も、全部全部出していけばいい。なんも我慢せずに、甘えたいだけ俺に甘えてりゃあいい」
『うん…ッん、……っぅ…』
甘く優しいキスをして、いっぱい笑って、泣いて、幸せになった。
こんなにも、私が生きる事に執着する事が出来た事が今までにあっただろうか。
こんなにも私をあたたかくしてくれた人が、今までにいただろうか。
なんだ、嫌なことばかりだったけど…こんな身体で良かったじゃん。
