第9章 天からの贈り物
『く、ろ…ッ?嘘っ、なんで今更…』
目を見開いて頭を軽く混乱させていれば、そのまま黒色の蝶は、いつも白色の蝶が消えていくのと同じように消えようとする。
『ま、って…待って!行かないで!!』
「蝶、お前いきなりどうし…」
『あ、ッ……』
下からすくおうと右手を動かせば、すぐに黒い蝶は消えてしまった。
見間違い?いや、そんなはずない。
ただでさえ白い蝶を見るだけでもそっくりだと思っていたほどなのに、あの黒い蝶はどこからどう見ても同じもの…
「蝶…蝶!!」
『!!!ぁ、…ちゅ、やさん……っ!あ、そうだ、血出せたんだよね。良い方法見つかって良かっ…良かった……』
ボロボロと、出すつもりなんてなかったはずの涙が溢れて止まらない。
目が熱くって、あの蝶が頭から離れてくれなくて、拭うことも出来ず、悲しむことも出来ず流し続ける。
「お前…とりあえずその血、戻せそうか?今持っとくのもしんどいだろ」
コクリと頷いて自身の身体に移動させると、手からは血の色すら付いていない状態で血液がなくなった。
移動させた先が身体の中だったからか、蝶は一羽も出てくる事はなく、すがり付くように中也さんの身体に触れる。
『中也、さん…今の、何色に見えた……?』
「今のって、蝶の色か?最初紅かったから驚きはしたが…」
違う、血が出てきた後。
そう言うと、黒くなったように見えたが?と答えられる。
『見間違いじゃない…っ、何よ今更、こんなに年月が経ってから……ッ』
「蝶、今の黒色の奴に何かあんのか?……俺が聞いてもいい事か?」
『!…う、ん……これだけ。これだけは、他に絶対言わないで?実験なんかよりも前の話だし…普通は持ち込んじゃいけない話だから』
中也さんは覚悟を決めたような顔つきになって頷いた。
『私が死ねないとか、能力が色々あるってのは中也さん知ってると思うんだけどね?……私、そもそも生まれも育ちも、“この地球”じゃあないの』
「………この地球?…つまり、なんだ?他の地球があって……ん?まさかお前宇宙から来たとか?」
流石の中也さんも頭が混乱してきたのか、ちんぷんかんぷんな事を言い始める。
『違う違う、そういうのとは違って…聞いたことない?異世界っていうか別次元っていうか……ああほら、あれです。パラレルワールド』
「パラレルってえっ、は!?ちょっとまて!?」
