第9章 天からの贈り物
「首領!…って蝶?お前今の……?」
『ん、あったかいの。心地よくってなんか気持ちい…いままでここまでの事なかったのに不思議。中也さんの血が入ってきてたんだね』
えへへと中也さんに笑いかける。
「すごいよ蝶ちゃん、身体に悟らせないように調節して始めたつもりだったのに」
『私もびっくりしてます。最初何かと思ってちょっと戸惑いましたし』
「…注射も血も嫌いなくせして俺のならなんでもアリってか。本当よく出来た奴だなお前」
首領は何やらトウェインさんと合流しに行くらしく、玄関先で待っているという黒服さん達と外に出て行った。
ありがとうございますと言えばどういたしましてと返ってきて、出る間際に楽しみにしててねと言葉を残していって。
『楽しみって、何のことだろ?』
「さあ、それは俺も聞かされてねえし…トウェインとやらなら知ってるんじゃねえか?何か耳打ちされてたぞ」
『へえ…中也さん、終わったらナイフ、貸して?』
お願い、と言っても中也さんはどうするのかちゃんと分かっているから、少し辛そうな顔をする。
「せめてもうちょっと他にやり方がねえもんか?」
『移し替えたらまた私が貧血になっちゃって意味無いじゃない?』
「移し替えとか俺の許可無くすんじゃねえぞ…つってもなぁ、俺のもんで傷つけさせたくねえんだが……つうかお前よ、血液は上手いこと外に移動させることは出来ねえもんなのか?」
中也さんの発言に困惑して、どういう事?と聞けば、いや、と続けられる。
「お前、集中さえ出来りゃあ見えてねえもんでもなんとか操れんだろ?上手い具合に身体ん中からちょっとだけ出してこれねえもんなのかと思って…!?」
確かにそれは試した事がなかったので、中也さんに言われたように集中して目を閉じて、自身の体内にある血液を少量外に移し替えるようイメージをする。
すると中也さんが突然慌て始めて、目開け、目!!と騒ぎ始める。
そして言われた通りに目を開くと…
『…ッ、え?』
中也さんとの間に、一羽の紅い蝶がいた。
『手、出すの?』
何故だかそう言われたような気がしてそこに右手を持っていけば、スウッと蝶から紅色が抜け、手には少しの血がたまる。
そして紅色の抜けた蝶をもう一度見て、中也さんは驚いていただけだったのだけれど、私は絶句することしか出来なかった。
蝶の色が、真っ黒だった。
