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第9章 天からの贈り物


「まあ輸血用の針なんかで俺が痛くねえのもお前が泣かずに済むのも、首領の腕がいいからだろうな」

「嬉しいこと言ってくれるねぇ中原君?さては相当御機嫌だね今」

「い、いやいや、確かに機嫌はいいですが…じゃなくて!!首領の腕が良いのは本当ですって!じゃなけりゃ俺だってもっと痛いっすよこんなもん」

中原君がかい?と笑う首領と、それにまた反応する中也さんに首を傾げた。

『首領以外のお医者さんにされた事ないから分かんない…』

「!蝶ちゃん、何かあったらいつでも僕に言うんだよ!?君のためなら自分で動いて…」

『あ、でも組合のドクターもいい人だったなぁ…色々と察してくれるし』

ピシッと固まる首領を横目に、中也さんは苦笑いになる。

「蝶、首領をからかうんじゃねえよ。あの人お前に嫌われたらショックで寝込んじまうぞ」

『はぁい……!ね、中也さんは?』

俺?と聞き返されて、言葉を続ける。

『中也さんは私に嫌われたらどうなっちゃ「自害する」すみませんって』

真顔で言われたものだからつい敬語に戻った。

「つうのは冗談として、お前に嫌われたらか…そうだな、まあ有り得ねえ話だろうが、もしそうなったら……」

有り得ないと自信満々な中也さんに流石だなと思いつつこちらも安心して、そうなったら?と聞き返す。

「…お前が心苦しくならねえように、俺もお前の事嫌いなふりでもしてやるよ」

『……ち、中也さんに嫌いになられるとか、ふりだけでも私生きていけない!!』

「プッ、はいはい、分かってるよ」

『私も自害する!!!中也さんがダメなら太宰さん連れて心中する!!!』

「よし蝶さん、俺が悪かった。やっぱりこういう冗談は良くねえな、ああ。俺もお前が大好きだ」

素晴らしい速さで即答されて、ピタリと止まる。
するとその時、なんだか身体が一瞬ゾワッとして、かと思えばなんだか心地いいような、気持ちいいとさえ思えるような感覚がおそってくる。

『ぇ、っ…な、に……?』

「蝶…?」

じんわり身体が少しずつあったまっていくような、大好きなもので満たされていくような、そんな感覚。

『なんか…好き』

「は…?蝶、どうした?」

頭に置かれていた中也さんの右手に擦り寄ると中也さんから間抜けな声が漏れる。

「蝶ちゃんは本当可愛い中原君が好きだねえ…今、輸血を始めたところだよ」
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