第9章 天からの贈り物
『…ぁ、……』
中也さんが離れてベッドから降りてしまい、首領がこちらにやってきて腰を下ろす。
前回のように手の甲に消毒され、特別細での針がちらりと見えた。
「……んな顔すんなよ、場所変えようと思って移動しただけだから」
『中也さん…っ』
「ん、どうした?」
本当に場所を移動しただけらしく、ソファの上で座って私の顔を覗き込む。
腕は横に出しているから首領は着々と準備を進めていて、私のためにか表面麻酔をしてくれる。
『…ッ、大、丈夫……っ!』
首領の前なのに軽くまたおでこにキスをして、すぐに中也さんはゆっくりと唇を離した。
「お前の大丈夫は大丈夫じゃねえんだよ…ほら、ここにいてやっから」
中也さんに腕を回してギュッと目を瞑ると、左手の甲に針が刺され、少しだけ声が漏れる。
中也さんは頭をまた撫で続けてくれて、暫くすると手の甲に針が刺さった違和感が残るのみとなった。
この違和感が最高に私の気分を悪くさせる。
「よーし、これでとりあえず点滴は待つだけだ。あとは輸血だが…ッ、だよなぁ。さっき余計な事言っちまったばっかりだし……」
『ちゅ、やさんのせいじゃなくって…っ』
「いいから、怖ぇ事ばっか考えんな…首領、今日は蝶の方に先にしてやって下さい」
「分かった、そうしよう。蝶ちゃん、腕だけ動かさないように…出来るだけ力抜いててね」
先程貼られたガーゼを剥がされ、辺りを再び消毒される。
首領はなんだかんだ言ってやっぱりお医者さんだから、律儀に私相手にもガーゼを貼ってくれる。
終わったよ、頑張ったねという意味を込めて、そこを私が見ないで済むように。
『…ん、ッぁ……っ』
「もうちょっともうちょっと…はい、これで後は中原君だね」
「はい。……お、今日は泣いてねえな?偉いじゃねえか」
フッと微笑んで中也さんはもう一度おでこにキスをして、御褒美だというように頬にも軽くキスをした。
『ん、…ッ、中也さん……?』
「心配すんな、ここで横んなるだけだからよ。こっちの腕が使えるよう、俺も左腕にしてもらうから」
中也さんは首領の作業を見せないようにか、横になって私の目の前でまた頭を撫でる。
一瞬ピクッと手が震えた気がしたけれど、中也さんは痛くはないのか何ともないような顔でん?と笑っていた。
『…中也さんやっぱり強い。かっこいい』
「!…そうか」
