第9章 天からの贈り物
「全く、久しぶりに蝶ちゃんに会えるのかと思って来てみればこんな具合になっちゃって…で、君がマーク・トウェイン君だね?」
「あらら、名前までバレちゃってるのね。初めまして、組合の職人のマーク・トウェインです。安心してください。蝶ちゃんの大事な人に手出ししたら僕、蝶ちゃんとの約束破っちゃうことになるんで…この子との約束は破れませんから」
「ほう、いい目だね。それじゃあ君には助手を頼もうか!食材の買出しに行ってきてくれ」
リビングで首領の声が聞こえたかと思えば、助手という名の買い出し係に任命されるトウェインさん。
あの人ここらの土地勘あるわけじゃないのにそんな事押し付けて大丈夫なの…ていうかなんで食材なんか。
「!…分かりました。行ってきます」
トウェインさんが買出しに出かけてしまって、ガチャ、と音がして部屋の中に首領が入ってくる。
顔を隠すのと少し怠いのが楽な気がするからと…二つの役割を果たしていた腕に触れられ、ピクッと反応する。
『ぁ…っ、首領……ごめ、なさ…』
「なんで君が謝るんだい。話は中原君から聞いてるよ…食欲不振か何かであまり食事を摂っていなかったのだろう?」
首領の言ったことに驚きを隠せなくて、腕の下で目を見開かせた。
なんで?
私もトウェインさんも、そんな事まだ言ってなかったはずなのに…
「首領、ソファでもいいですか」
「ああ、大丈夫だ…ん?蝶ちゃんびっくりしちゃったのかい?」
『!…だ、だって私中也さんにそんな事一言も……っ』
本音を漏らせば二人の視線が刺さり、すぐに話を察したのか中也さんがはぁ、と溜息を吐く。
「お前なぁ、今日俺が散々持ち上げたり膝に乗せたりくっついたりしてて、気付かねえとでも思ってんのか?あ?」
『し、食欲無いのとか普通そんなんじゃ分かんない…です』
「余計に軽くなってんだよ馬鹿が。お前の格好みてりゃあ無下に扱われてるわけでも無さそうだし、何より、いつもより力も入ってなかった」
「中原君、君医者か何かかい?僕かなり驚いているのだけれど…ほんっとに蝶ちゃん大好きだね君」
首領の言葉に焦って言い返すのかと思いきや、少ししてから落ち着いた声で中也さんはそれに返す。
「ま、誰かにやるつもりも…嫁に出すつもりもありませんからね」
『!!』
満足そうに言ってから、ソファを取りに出てしまった。
