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第7章 克服の時間


少しすると、私の携帯がまた音を鳴らす。
静かな展望台で響き渡るその音に、相手を確認する。

『……!ちょっと、ごめん。出てくるッ』

急いで離れたところまで走っていき、もう一度確かめるようにディスプレイを見た。
間違いじゃない、気のせいでも見間違いでもない。

すぐに意を決して通話を開始し、もしもしと恐る恐る声を出す。

『…太宰さん、ッ?大丈夫なんですか……?』

「うん、もう意識も戻ったよ。こっちの状況は国木田君から聞いている…それと後、君の今の状況も、中也から連絡が入っていた」

優しげな声色の太宰さんに、心の底から安心した。
よかった、無事だった。

首につけられたんだって?と、声の調子を変えずに問われる。

『はい…でも、妙なんです。私にこれをつけたり、遠隔操作のリモコンを渡されてた相手の依頼主は、組合でもあいつでもないみたいで』

「!それなのにそれがそこにあるのかい?蝶ちゃん、それなら尚のこと気をつけた方がいい。中也がそっちに到着したら、絶対側を離れるんじゃないよ。敦君が攫われたって事はもう聞いてるって聞いたけど…」

次の瞬間、再び予想外の事態が発覚した。
…そうか、これで国木田さんも中也さんも、そして太宰さんも、変な事を言っていたんだ。

私が単身で救出に行こうとしないように、教えてくれなかったんだ。

「敵の本来の拠点は、あの船じゃなかったんだ。目撃証言をたどってみたところ、鯨のような大きな拠点が、海から浮上して空に飛んでいってしまったらしい」

『空に?空って…!向こうには一人、恐らく異能持ちの優秀な狙撃手がいます。それも凄腕の強力な。空から攻撃でもされれば…』

「何、異能持ちの狙撃手…?ありがとう蝶ちゃん、それは私が何とか対処しよう。スモークと、センサー無効の飽和チャフを街中に仕込んで備えておく」

太宰さんの口ぶりからすると、やはりまだトウェインさんは作戦に関与する事が殆どなかったそうで、その情報がなかった様子だ。
この人が仕込むと言ったら、本当にどうにかしてくれる。
今横浜の方に動けない状態の私は、太宰さんに任せることしか出来ない。

『それにしても空って、それじゃあどこかに逃げられてしまったら追えないんじゃ』

「そう、本題はそこだ。彼らの拠点の白鯨は、ステルス機能を装備しているらしい…今、探偵社は完全に彼らの居場所を見失っている」
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