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第7章 克服の時間


「…はい蝶ちゃん、これ。自分で持っておくのが安心でしょ」

私にリモコンを渡して、頭をポンポンと撫で、また相手に向かい立つ。
私が、中也さんが…そして何よりも彼自身が、成長したと大きく実感している。

カルマ君が、私と男の間に入って、相手を見据えて立っている。

『こ、れ…っ、カルマ君、これならもう私が』

「いいから、下がってて。心配してくれんのは嬉しいんだけど、俺もそろそろいいとこ見せたいもん…ねえ、おじさん。プロって意外と普通なんだね」

私にフッと微笑んでから、カルマ君が相手を挑発し始める。

「ガラスとか頭蓋骨なら俺でも割れるよ。ていうか、速攻仲間呼んじゃうあたり、中坊とタイマン張るのも怖い人?」

頼もしいカルマ君の背中を見て、まだ頭の整理はつけきれていないけれど、烏間先生のいる場所へと下がる。
本当、有言実行ってまさにこの事…悔しいけど、ちょっとかっこいいなんて思っちゃったじゃない。

「白石さん!?早く止めなければ、彼では無謀過ぎ…」

「ストップです烏間先生……アゴが引けている」

殺せんせーの言葉に烏間先生も皆も、カルマ君を見る。
そして私は、それに一瞬呆れたような、ホットしたような笑みを浮かべてカルマ君を見る。

「今までの彼なら余裕をひけらかしてアゴを突き出し、相手を見下す構えをしていた。でも今は違う…口の悪さは変わりませんが、目は真っ直ぐ油断なく、正面から相手の姿を観察している」

テスト以来少々なりを潜めてましたが、どうやら敗北からしっかり学んだようですね。

殺せんせーが言い終わって、私に同意を求めるように、ね?白石さん、と聞いてくる。

『ああ、テストで…成程?』

中也さんの言葉にいてもたってもいられなくなったというのは本当だろう。
でも、彼をそうまでに追い込むような事態が何なのかと疑問に思っていた。

自分の弱い所を認めて、それを補うために、彼は頭を下げたのだ。

「…いいだろう、試してやるぬ」

男は臨戦態勢に入り、カルマ君も戦闘態勢になる。

「存分に戦いなさい!高い大人の壁を相手に!」

殺せんせーの言葉にまたカルマ君はフッと笑って、前を見据えたまま、言葉を放つ。

「蝶ちゃん、ちゃんと見ててよね。あと今回の件が片付いたら、中也さんにも言っといてよ?」

『プッ、…フフッ、はいはい。期待して見てますよ』
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