第7章 克服の時間
「つうか、そういや白石烏間先生より至近距離でガス浴びてなかったか?像でも倒れるくらいのガス浴びてて何でもう平気なんだよ」
階段を登りながら、菅谷君が私に聞く。
すると皆、烏間先生が歩けるだけでも十分化物じみてるんだけど、なんて顔を引き攣らせる。
『最初ちょっとぐらつきはしたけど…多分すぐに耐性がついたんだよ。抗体でも出来たんじゃない?』
「ちょっとぐらつくぐらいで済むはずねえって…」
確かに烏間先生も歩くのに苦労している。
人の支え無しには立っているのも辛そうだ。
『まあ、私薬類には強いから……!』
5階の展望デッキに到着して、広く見渡しのいい展望台に出る直前に、腕を出して皆が前に出るのを制する。
そこに堂々と、一人の男が立っていたから。
どう見ても、こっち側の人間だ。
皆もいい加減見分けがつくようになってきたらしく、烏間先生も部が悪いのを察知して、警戒を強める。
「……出てこい、いるのは分かってるぬ。足音を聴く限り、“手強い”と思える奴が一人…噂の護衛係とやらか。子供か?」
子供と言われるのにカチンときて、皆でゾロゾロと開けた廊下に出る。
『あの、私、敵に子供って言われるの一番嫌いなんですけど…そういうの、ちゃんと見てから言ってもらえません?』
口角を引き攣らせながらなんとか笑顔で応対する。
相手の目を見……るも何も、背が高すぎてこれじゃあ本当に小さい子供だ。
「……子供、ではないのかぬ」
『違うわよ!失礼ねさっきから!?』
私が声を荒らげた瞬間、パリンと大きな音が響き渡って、見ると相手の男の人が素手で展望台の硝子にヒビを入れていた。
「精鋭部隊出身の引率の教師…は、スモッグのガスにやられて半ば相打ちぬといったところかぬ。そしてそこの少女は……スモッグに上手くつけられたぬな。それがあれば、お前は思うように力が出せ…ぬッ!?」
ぺちゃくちゃと情報を漏らしてくれそうな相手の鳩尾目掛けて飛び蹴りをする。
しかし、上手く入った手応えがない…咄嗟に場所をずらされた。
先程の怪力を見る限り、あれに捕まったら即終わり。
壁も張れないしテレポートも出来ない今、中也さん並の怪力を持つこの人に勝つ自信は、正直なところ全くない。
すぐさま距離をとって着地し、銃を手に取って構える。
『変な事ばっかり喋らないで…撃ちますよ』
「ほう…?」
