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第7章 克服の時間


中也さんは本当に異能を使って、全力で船を飛ばして来てくれているのだろう。

すぐにノイズが聞こえ始めて、通話が途切れてしまった。
無機質な音が鳴り響く中、口角を緩めて、カルマ君の身体に腕を回す。

「え、と…蝶ちゃん?今日はどうしたの?」

『……ちょっとだけ。…ちょっと、あったかいのを分けてほしいだけ』

単に、誰かに縋り付きたかっただけだ…甘えたくなっただけだ。

「いくらでもどーぞ、お好きに……ああ、でも流石に皆びっくりするのが続きすぎて、面白い顔になってんね」

「いや、びっくりもするだろうが!!正直言って分かったのは白石と中原さんの仲の良さだけだよこの野郎!!」

寺坂君の声も、ちゃんと聞こえる。
みんなみんな、聞こえる。

「白石さん…その首につけられているのが、そうなのか?」

烏間先生に確認するように聞かれて、私の代わりにカルマ君が頷いてくれる。

「これ、簡単に言っちゃえば、相手の思惑通りに電流が流れる仕組みになってるらしいんだよね。蝶ちゃんが監禁されてたって話は皆聞いたと思うけど、蝶ちゃんあんなに強いじゃない?…こいつのせいで捕まらざるを得なかったんだよ」

話しても大丈夫そうな内容だけを選んで、枷の説明もしてくれる。
嘘ではない、ちゃんと、本当の事だ。

「首についてたからまさかとは思ったけど…本物って言ってたってことは、もう確認したって事?」

磯貝君の問いに、私がちゃんと頷いた。
思い出すと震え始めるけど、黙ってもいられない。

『さっき…流れたの。まだ軽いのですんでたけど、こんなのじゃないのこれ……ッ、何でこんな時に…』

カルマ君に隠した顔は、誰にも見えていない。
怖がっているのを、手遅れだけど、見せたくない。
私の中のしょうもない意地が、素直に甘えさせてはくれないのだ。

カルマ君は特段私と中也さんの様子を見てきていたからか、落ち着かせるように背中をトントン、とさすってくれる。

「…それ、律でもなんとか出来ないの?」
「下手に接続すると、何が起こるかわかりません…いくら情報を探ってみても、出てこないんです。この枷についての情報は」

『無理だよ、これを作った人間は、私にしかこれを使いはしない…私を逃げられないようにするための、ただそれだけのために作られた枷だから』

どこにも情報を提供する必要など、無いのだから。
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