第7章 克服の時間
「何を言っているんです白石さん!馬鹿な事を言うのはやめなさい!!」
「白石さん、早まるんじゃない!そんな事は口にするものじゃないぞ!」
殺せんせーと烏間先生の声も、どこか遠くで聴こえているような感覚だ。
両手で目を覆って顔を隠して、殺して、死にたいの、と懇願する。
死ねば、首輪を外すことが出来る。
私が肉体ごと一度消滅してしまえば…この地獄から、忌々しい枷から、解放される。
「頼む蝶、それを言うんじゃねえっ…約束しただろっ?お前、そのまま生きてくれるって約束しただろ!!そんな事を俺に頼むんじゃねえ!!」
『中也さんがいないのに、なんでこのまま死んじゃダメなのっ?一回そうすれば、楽になるの…っ、これが外せるの!この生き地獄から、解放されるの…!』
さっきから一体何を、という周囲の声も、どこか遠くで聴こえる。
「俺はいるだろ!そっちに着くまでずっと電話してやってたっていい!頼む…お願いだ……ッ、そんなわがまま嬉しくねえぞ…」
『……わがまま、言いません。これから言わないように、します…だからお願い、一回……死なせてください』
「そうじゃねえんだよっ…、そうじゃねえだろ………頼む、カルマでも誰でもいい。誰か、蝶を気絶させてやってくれ」
中也さんの言葉に身体が強ばる。
何、言ってるの、中也さん。
私を気絶させる?
誰かに、私に痛いこと、させるの?
『中也さんっ、?何でっ?私何か悪いことしちゃった?』
お願い、そんな事言わないで。
中也さんがそんな事、言わないでよ。
「違う、お前は何も悪くねえんだ…でもそのまま本当に死なれると、俺が苦しくて堪らねえ」
『私が悪い子だから、中也さんもそうするの?この枷がついてるこの状態で、私に…痛いこと、するの?』
「!……中也さん、とても蝶ちゃんを気絶させるだなんてこと、出来ないよ。分かってるんでしょ?蝶ちゃんが生半可な衝撃じゃ気絶なんてしないってこと…それにそんな事言ったら、自分も蝶ちゃんに拒絶されるってこと」
カルマ君が中也さんに何か話しかけてる。
驚く程に近くで喋ってるはずなのに、びっくりするくらいに鮮明に聞き取れない。
中也さんが、全部なの。
私の全部は、中也さんなの。
「そんな事よりも蝶を死なせねえ方が大事なんだよ!そいつがそんだけ追い詰められてっと、本気ですぐに自殺なんか図っちまうんだよ!!!」
