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第7章 克服の時間


カルマ君には感電していなかったようで、私は抵抗する事も出来なくなって、ただカルマ君にしがみつく事になってしまった。
安心していいはずなのに、怖い。

カルマ君がそこにいるのに…周りに皆がいてくれてるのに、その全部が怖い。

「蝶ちゃん…?……!まさか、それ、本物だったの!?」

震えながらも首を縦に振れば、それと同時に、一番聴きたかった声が聴こえた。

「本物!?本物って、どういう事だカルマ!!」

『!!…中也さんっ、そこ、いるの?』

スピーカーにしてるわけでもなさそうだったのに、漏れてきた声。

弱々しく中也さんの名前を呼べば、階段の踊り場に付いたのか、カルマ君が横抱きにしたまま、中也さんの声が聞こえるようにしてくれた。

スピーカーにして、カルマ君が首輪の事を説明する。
磯貝君があらかじめこの状況を説明してくれていたらしく、今プロの殺し屋を相手にホテルに潜入しているということはもう分かっていたらしい。

「それでさっき、毒ガス使いの人を蝶ちゃんが倒してくれたんだけど…その相手が、蝶ちゃんに首輪、付けたんだ」

「!……蝶?お前それ、本物だったのか?」

『…………本物。ねえ中也さん、中也さんに会いたい…これ、もうやだよ…いやだ……』

一人じゃ怖くて堪らなくて、それでも中也さんが欲しい。
あの人がいないと、これが身体についているだけで、耐えられそうにない。

「…担任、今、横浜までは来れそうか」

「ニュ…すみません、心苦しい事に、身動き一つ取れない状態です」

「ああ、あんたのせいじゃねえよ…蝶、あと数時間そっちで待ってろ!すぐに船出してそっちに行ってやっから」

身支度を始めるような中也さんの声が響いて、嬉しさがこみ上げてくる反面、また前の癖が出始める。
これを言ったら怒られるって…分かってる。
でも、これをつけられてるのは…それで中也さんにも会えないのは、私にとってただの生き地獄でしかないの。

『ねえ、中也さん…ダメ?』

私の小さな声も、周りが静かだからすぐに中也さんにも届く。

「……ダメだ」

『お願い…許して、お願いッ』

「ダメだっつったらダメだ…そんな事してみろお前、怒るぞ」

『怒られた方がいいですよ…ッ、お願い、死にたいの!!』

私の叫びに、皆が目を見開いてこちらを見る。

「それを言うな、頼むから」

『お願い…殺して……っ、?』
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