第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
「は……?馬鹿も休み休み言いたまえよ中也?蝶ちゃんの任務先は中学校だろう。それがどうして…催淫剤なんかに繋がるんだい」
液晶端末の向こう側から、この世で最も忌み嫌う野郎の声が聴こえる。
こいつにだけは頼りたいとは思わなかったが、如何せん女の事ならこいつほどに詳しい奴なんか、俺の知り合いにはいねえ。
「それがまあ、誰の差し金かは知らねえが、蝶だけがこんな状態になっちまうようなスプレーが撒かれたみてえでな。本人は少し吸った直後に危険を感じて身を守ったらしいが…相当効いてやがる。遅効性だったのかもしれねえ」
「……それで?君は何の為に私に連絡をよこしてきたのだい?」
きょとんとしたような声で言う相手に一瞬拍子抜けした。
「はあ!?てめっ…蝶が媚薬盛られて苦しんでんだぞ!だからどうにかあいつを楽にさせてやれねえかって!!」
「中也」
冷静に、俺を落ち着かせるよう太宰が呼んだ。
それで少し黙っていれば、すぐに向こうの方から話を続けられる。
「君だってそれくらいの事、分かっているのだろう?今蝶ちゃんが苦しんでいると言ったが、どうしているんだい」
「……あいつの部屋のベッドに寝かせて、出来るだけ触れねえようにして無理矢理出てきただけだ。あれ以上一緒にいたら…なんでもねえ」
既にあの蕩けた目に見つめられ、あの小さな身体を感じさせ、俺自身だって限界を迎えつつあった。
「それは、女性にとっては最もな苦痛でしかないだろう。何せ、癪だが蝶ちゃんの最も好いている相手である中也に、一人で置いていかれてしまっただなんて……“そういう事”をあまりよく知らない彼女が、自分の身体がどうなっているのかも分からずに置いていかれて、どう思うと思う?」
「…じゃあ、手前は俺にどうしろって」
「まだ分からないのかい」
妙に鋭い太宰の声が、胸をドクドクとうるさくする。
「生殺し状態で放置だなんて、とんでもない苦痛だよ。…そんな状態が見ていられなくて私に連絡を寄越すくらいなら、君がなんとかしてやればいいじゃないか。何をそんなに躊躇う」
「手前…俺らなんかと違って、あいつはまだただの子供なんだぞ」
「中也が最後までせずに我慢すればいいだけの話だろう。そんなに君がしたくないというのなら、私がしてあげたっていいんだよ。蝶ちゃんを……」
「やめろ。……___俺がする」
「…そうかい」
