第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
飛びつく、といっても、今回は中也さんの前から彼の胸元に飛び込んだ。
こんな変な状態で数時間授業を受けて、皆の前で平気なフリをするのがやっとだった。
「蝶、ちょっと落ち着け!何があったんだ!?」
『ひあっ!?…あっ、な…何でっ』
中也さんが心配して私の手を掴むと同時に、首を触られた時のような感覚が身体を伝ってビクッと手が跳ねた。
何で?私、手…握られただけなのに。
中也さんまで私の反応にびっくりして、ちょっとだけ間をおいてからとりあえず早く車に乗れとドアを開けられた。
『ん…っ、何……何で私、手…………っ?』
倒れ込むようにして助手席のシートに乗って背中を預ければ、すぐに中也さんはドアを閉めて運転席に乗り、車を出した。
「…………お前、今日なんか変なもん飲み食いしたか。それか、誰かになんか盛られてねえか」
『な、ない…そんなの…』
無言が続いて一人身体を落ち着かせようと大人しくしていれば、駐車場らしきところに中也さんは車をとめる。
「…身体が、おかしくなった原因に心当たりは?」
『……スプレー…寺坂君が、殺虫スプレーみたいなの、教室で撒いて。それちょっと吸い込んだら頭クラクラして、焦って能力使って廊下でました』
私を心配してかこちらを見つめながら聞くけれど、中也さんは近寄ってはくれない。
「そんで、そっからどうなった。今の状態、言えるか?」
『ん…すっごい汗出てきて、暑くなって……一回だけくしゃみしたら、なんかそっからっ…』
言うのが、恥ずかしくなる。
さっきの反応を見て、もしかしたら中也さんは気がついているかもしれない。
けど、なんて言葉で表現をすればいいのかも分からない上、こんな事を他の人…ましてや中也さんになんて、言えるわけがない。
「…………何が言いてえのかはまあ、さっきの反応見てりゃだいたい想像がついた。蝶、お前今扉作れるか。一旦家に戻んぞ」
『へ、家…って、車は』
「んなもん後からどうにだって出来んだろが。とりあえずお前はあんまり今、人目に触れねえ方がいい。車ん中から移動しよう」
中也さんの意見には筋が通っていて、こんな状態ではとても人の目に付くようなところにはいられなかった。
少しだけ頭を落ち着かせてから、中也さんの家への扉を作って、何とか自力で入り込んだ。
中也さんもすぐに入ってきたけれど、私は床に倒れ込む。
