第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
スプレーを吸い込んでしまったのだろうか、唐突に頭がクラクラしてきたため、スプレーを煙幕代わりに能力を使ってすぐさま廊下に移動する。
床にへたり込んで深呼吸をして、自分の体を落ち着かせる。
何あれ、ただの殺虫スプレーなんかじゃない。
見たところ殺せんせーも平気…というか赤くなって怒っている様子だし、対先生物質で出来た何かってわけじゃないの……?
「あれ、蝶ちゃん!?さっきまでここに…」
スプレーが気化されきったのか、教室の方から倉橋ちゃんが驚いた声をあげていた。
どうやら誰にも、気分を悪くしたような子はいないらしい。
頭を抱えて考えてみても、あれがいったい何だったのかも想像がつかなかった。
『………なんか、あっつ…』
動いてもいないのに汗をかいて、呼吸が荒くなる。
風邪をひいているわけでもなさそうだし、なんというか、そう…
『スプレーを浴びた身体の皮膚…吸った気管支に、肺……?っ、クシュッ!』
アレルギーを発症したかのような。
身体が変にスプレーを警戒して、異常に敏感に反応してしまっているような、そんな感覚。
一度くしゃみが出てから続けて出るということはなかったが、妙に身体があついままだ。
今日はあと授業をちょっと受けた後に、中也さんとケーキを食べる約束なのに…
倉橋ちゃんにはスプレーが気管に入って噎せちゃったから、急いで教室から出ていたと伝えてなんとか誤魔化し、寺坂君がやけに不機嫌な状態のまま学校は放課となった。
「あれ、蝶ちゃん珍しいね?今日は早く帰るんだ」
『うん、中也さんと約束あるからね…じゃ、また明日』
「そうなんだ、楽しんできなよね。バイバイ~」
カルマ君と軽く挨拶をして、走って山を下っていく。
中也さんに早く会いたい。
ケーキの約束、それもあったけど、様子のおかしい私の身体に一人だとなんだか怖くなった。
暑さは全然マシにならないし、熱があるわけでもなさそうだし…
『はあっ…は、あっ……!』
何よりも、アレルギー的な反応なのかなんなのか、全身の皮膚が普段よりも敏感になったように疼いてむずむずする。
頭もちょっとだけぼーっとする。
『!…中也さんっ!!』
麓まで駆け抜け、中也さんの姿を捉えた。
「おおっ…と!だから飛び付いたらびっくりすんだろって……蝶どうした、お前様子が」
『何、何なのこれっ…』
