第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
「格闘技に優れたといえば、蝶ちゃん前から、中原さんの体術が凄いって言ってたけど…」
今度は女共が話し始めた。
それにしても、なんでそんなことまでこいつらの前で言ってんだよあいつは。
少し照れつつも嬉しいものは嬉しくて、心の中で悪態をついてそれを知らないふりをした。
「あ、そうだよな?凄い凄いって言ってたからどんなものなのかと思ってみれば…凄すぎてそれ以外に何も言えねえ」
その話に乗じて顔を引きつらせる男共。
「あ?ああ、まあさっきは危うくあの男を殺しそうになっちまったから、蹴り入れる直前にちょっとだけ手加減はしておいたがな」
「え、あれで手加減してたんすか!!?」
「当たり前だろ、じゃねえとあいつの身体は今五体満足に機能してねえよ……骨はかなり砕いたかもしれねえがな」
少し思い出して殺気が漏れてしまったのか、ひっ!?と情けない声をあげる野郎共。
「だ、だが本当にあれで本気ではなかったというのなら…どうして中原さんはそんなに強く?まだ若いだろうに」
珍しく烏間さんから質問されたので、隠す事でもないからしらっと答えた。
「んなもんあいつともう離れねえで済むようにだよ。…もうあんな思いをすんのはごめんだからな」
俺の方を不思議そうに見つめる餓鬼共を見て、意味が分かる人間がこの教室に今三人しかいなかったということに気づいた。
「……要するに、蝶ちゃんを守るため?」
きょとんと聞いてきた倉橋に思わず噎せそうになったが何とか耐えた。
「どうだろうな。現に今回、あいつの仕事の事を考えててこの様だ…守れてんのかどうなのか」
自分を責めるように言えば、これにも烏間さんが答えた。
「中原さんがいなければ、最後の攻撃に誰も間に合わなかった。白石さんなんてあんなに泣いていたし、中原さんがいなかったらどうなっていたことか」
「はは、蝶が信頼してる烏間さんにそう言ってもらえるとちょっと楽になるよ、ありがとう」
蝶が信頼していると言えば烏間さんも嬉しかったようで、表情が柔らかくなるのが見て取れた。
「それじゃあま、俺もそろそろ保健室に行かせてもらうぜ。どうせ今日はもう放課なんだろ?」
想像よりも帰るというのが早かったからか、どうしてだという声が上がる。
「早くあいつんとこに行ってやらねえと、あいつは寂しがり屋なんだ。じゃあな手前ら」
