第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
中也さんは地面がひび割れる程の衝撃を与えて蹴り飛ばした鷹岡の元に瞬時に移動し、鷹岡の髪を持ち上げて目を合わせる。
「手前、今度またあいつに…蝶に触れてでもみろ。その首蹴切り殺すぞ」
尋常じゃないほどに溢れる殺気に、鷹岡だけでなく、外に出ている全員が冷や汗を流した。
浅野さんも例外ではない。
「ひ、ひいいいいぃ!!!?」
鷹岡は遂に走ってここから逃げ出した。
そしてそれを見届けて大きな舌打ちを一度してから、中也さんはこちらへ歩いて戻ってくる。
そして浅野さんの前で帽子を脱いで一礼し、挨拶をした。
「挨拶が後になってすまねえ。俺は中原中也…白石蝶の保護者っつうか、まあ家族みたいなもんだ」
「中原中也さんか…見事だった。助かりましたよ、白石さんにもお礼をしなければ。」
「いや、さっきのは俺個人の鬱憤晴らしだ…蝶への礼なら、まあ本人が気づかねえようなところでこっそりやってくれ」
会話は聞き取れなかったが、どうやら中々気が合うらしく、二人の顔は険しくはなかった。
「……あんたには本当に、蝶共々感謝してる。また改めて挨拶に行かせてもらうよ」
「そうですか。私も、白石さんには今回の件以外でも本当に感謝しています。…では、また」
浅野さんは本校舎に向けて戻っていった。
そして浅野さんが去ってすぐ、中也さんは私の元に走ってきてしゃがみ込む。
「………耳は。聴こえてっか、俺の声」
少しまだ聴き取りづらいけれど、ちゃんと聴こえる。
『まだクリアには…でも、ちゃんと私の好きな声が聴こえます』
声を出すのも脇腹に響くが、にこりと笑って言った。
「こんな時までお前は…腹、見んぞ」
『ん、…っぅ…』
体操着を捲って、変色している部分を撫でられた。
ピクピクと擽ったさに半分、ズキズキと痛みに半分、身体が反応する。
烏間先生の時には強がっていた身体も、やはりこの人には嘘は吐けないようだ。
「……っ、すまん、最初から飛んで行ってやればよかった、な…」
泣きそうな目で私の身体を見つめる中也さん。
最初から、ということは全部見られていたということ。
『大丈夫。私の事を考えて、我慢してくれていたんでしょう…来てくれて安心したっ、もう会えなくなるかと思った……っ!!』
もしあのまま中也さんが来なかったらって思いが抜けなくて、笑顔なんて作れなくなった。
