第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
「本気で僕等を強くしようとしてくれてたのは感謝してます。でもごめんなさい、出て行って下さい」
頭を深く下げて、潮田君はお願いした。
「じゃ、私は?」
「僕らのビッチです」
「殺す…!」
なんてイリーナ先生と竹林君のやり取りも聞こえた。
笑いそうになるのを堪えていれば、鷹岡が潮田君に襲いかかろうとしていた。
けれど今回は私は動かない。
「すまない、身内が迷惑をかけた。後のことは心配するな、上と交渉して、なんとか俺が君達の教官を続けられるよう掛け合ってみる。」
烏間先生が、鷹岡に強い一撃を入れて撃退してくれたから。
皆は烏間先生の方に視線がいき、そちらに集まったが、私の目はとある人物を目に捉えていた。
「くっ、やらせるかそんな事…俺が先に掛け合って…!」
「交渉の必要はありません」
その人が遂に言葉を発して、皆がそちらに振り向く。
「「「理事長!!?」」」
そう、理事長こと、浅野學峯さん。
私のような人間をこの学校に迎え入れて下さった方だ。
理事長が倒れた鷹岡の前で立ち止まったため、歩いて傍に行って跪く。
いつかの首領にしていたように、頭をさげて。
「おや、君は…」
「すみません浅野さん、今回の件は、私の力不足にも問題がありました」
周囲にざわめきが広まるが、浅野さんは顔を上げなさいと言った。
「君がいなかったら、もっと多くの生徒に被害が出ていた。…それに私は、君をただの護衛役として受け入れたんじゃあない。白石さんの知識や才能が、理不尽なことで世に蔑まれるのに少し腹が立っただけだよ」
私がE組であろうとも、言葉には重みがしっかりとある。
私をちゃんと、受け入れてくれている。
顔を上げて立ち上がり、再び頭を下げた。
「…経営者として様子を見に来ました。新任教師の手腕に興味がありましてね」
鷹岡の方に目をやって、浅野さんの目が鋭くなる。
「でもね鷹岡先生、あなたの授業はつまらなかった。教育に恐怖は必要です。一流の教育者は恐怖を巧みに使いこなす…が、暴力でしか恐怖を与える事ができないなら、その教師は三流以下だ」
何かの紙をくるくると丸めて、鷹岡の前でしゃがみ込んで浅野さんは言った。
「自分より強い暴力に負けた時点でそれの授業は説得力を完全に失う」
この人の容赦のないやり方は、些か疑問に思う点もある。
でも私は、嫌いにはなれない
