第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
『ふ、普通女の子にあんなスピードで走らせます!?すっごい疲れたんですが』
頬を膨らませて中也さんを少し睨むと、山の方から皆が走ってこちらへ来た。
「お前とすんのが久しぶりでちょっと楽しかったんだよ、他の奴らじゃそれこそ俺に追いつけねえしな」
『だからって……もう、許しますよ』
上手くあしらわれた気はするが、心の底から楽しそうな笑みで頭を撫でられると何も言い返せなくなった。
汗をかいて笑っているあたり、本当に生身で全力出したんだこの人。
中也さんの言う通り、木を渡るのは銃のように私の得意分野なので、男の人…それも中也さんについてはいけたけれど。
これ以上距離が長かったら…それに相手が私の好きな人じゃなかったら、分からなかった話だ。
あー疲れた、と言いながら地面に座って、私の隣に来てくれた。
そして駆け付けた子達から、口々に騒がれる。
「やっぱりさっきの蝶ちゃんだったんだ!」
「早すぎて一瞬しか見えなかったんだが」
「前見た時より大分早くなかったか!?」
そうだよ、当たり前じゃないの。
『……中也さんの目の前で恥ずかしいとこなんて見せられないから』
隣に聞こえないよう、ぽつりと呟いただけのはずだったのだが、
「ああ、それでかよ…って、そんなんで普通あんなスピード出せねえよ!?」
「やっぱり力の源は中原さんなんだ?」
と皆さんいい感じでわいわい騒いでくれたため、すぐに本人の耳に届いてしまった。
「あ?なんで俺?」
「蝶ちゃん、中原さんにいいとこ見せたくて頑張ったんだよね~?」
悪意のない目で倉橋ちゃんが同意を求めてこちらを見る。
「そうなのか?無理しなくったってお前に合わせてやることも出来たのに」
『そ、そそそんなの…ないです!もう、私教室行きますから!!』
なんてことを暴露してくれるんだ、やっぱり天然が一番怖いな。
はずかしさにそそくさと立ち上がろうとした時だった。
「おい、蝶」
『何なんですか、私は別に…』
「ありがとな頑張ってくれて。帰りもまた迎えにくっから、ここで待ってろ」
私たちの間では、私が好きだからという事で日常茶飯事な撫でるという行為。
しかし他の人の見てる前でそんな事をされるのは、やはり私の心臓にとてもとても悪いわけで。
『…は、いっ……わ、私持病が発症する前に行きますから!』
「おう、行ってこい」
