第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
聞けば洗面台に頭を全力で打ち付けてきたんだとか。
そんな事しなくってもいいのに、何で変なところで奇行に走るかなこの人は。
「大丈夫だ、俺は中原中也、男の中の男」
『もう気にしてないですから大丈夫ですよ、中也さん。それに今日は学校に送っていってくれるんでしょう?楽しみにしてるんですからね』
「お、おう、そうだな!朝飯と昼は、すまねえがどっかで買う事にしよう」
『そんなに心配しなくていいのに』
馬鹿野郎!しっかり三食ちゃんとしたもん食え!とお説教モードに入る中也さんはやっぱり心配性の鬼だ。
まあでも、私の事をそんな風に思ってくれるのはとても嬉しいことではあるため、嫌だなんて思うことは無い。
………次から浴衣で寝るのやめよ。
昨日に引き続き、念願の助手席に座って中也さんの車に乗せてもらって、学校の山の麓まで着いた。
『わ、今日はやっぱりもう皆山登り始めてるか』
「お前いっつも結構早いからな。でもそういえば、なんであいつらがいねえ時に行ってんだ?」
中也さんも車から降りて、山を見上げて私に聞く。
『…見回りと、それのついでにフリーランニングでトレーニングでもと思って。あんまり能力は人前じゃ使えませんから』
「ああ、お前得意だもんな、木渡り。…んじゃ、今日は俺も参加するかな」
肩を回して乗り気な目で、私のトレーニングをすると言う中也さん。
『え!?中也さんが参加するとか、そんなの私置いていかれるんじゃ…』
「大丈夫だよ、蝶だって早いし、これに関しちゃ俺が教える前から出来てただろ?俺も異能は使わねえから、ジョギング感覚でやってくれればいいさ」
ジョギング感覚と言っても、能力使わずに貴方に合わせてスピード出すの結構キツいんですよ、私。
というか普通に考えて中也さんレベルのスピードで動くとか無理、絶対。
「……お前なら出来るって」
『う、…頑張ります』
中也さんに説得されて木の枝に飛び乗り、私が飛ぶのを合図にして中也さんも同時に動き出す。
中也さんのスピードに負けないように動かなきゃいけないから、こっちは必死だ。
追い抜いていく私達を呆然と見る皆に構う暇もなく、一気に上まで登りきった。
「ははっ!いいなここ、中々ねえぞこんな環境!」
『ちょ、中也さん…やっぱり早い、って……!はあっ、…』
「でもやっぱ付いてこれたろ?流石蝶」
