第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
『…え、それ……どういう…』
「そのまんまだ。第一俺が嫌だと思ってたら、今頃お前はそこら辺で屋根に張り付いてんだろが」
くしゃりと頭を撫でられて、なんだか話を逸らされた気がした。
肝心なところは、やっぱりまだまだお預けらしい。
『中也さんは、私にそんな事しないでしょう?』
「……分かってんじゃねえか。俺が蝶に対して唯一嫌だと思うのは、お前が無茶したり誰かのせいで傷付いたりすることだが」
一度ゆっくりと呼吸をして間を置いて、中也さんは続きを言う。
「今回に関しちゃあ、中々俺も、簡単に立ち直れそうにねえ。蝶を傷付けたのも能力を暴走させたのも、今お前が俺を治したのも。全部これは俺が原因だ」
『え…』
誰かのせいで傷付くのは嫌だと言っていた。
それが今回は中也さん自身だと、彼は思っているのか。
「ごめんな。俺、お前よりもずっと大人なはずなんだがよ、再会してから何かある度にお前に照れさせられてんだ。そんであいつらの前で余計に恥ずかしくなって、つい強い事を言っちまっただけなんだよ…離れて欲しいだなんて思った事、ねえから」
優しく、柔らかく、頭に何度も何度も手を置いて。
中也さんは本音を言ってくれた。
『でも、前から嫌だったんじゃ…ないんですか?私がしつこくても、中也さんが優しいからそう出来なかっただけで………いい加減にして欲しかったんじゃ、ないんですか?』
中也さんの手が頭の上で止まる。
「本気でそんな風に思ってたら、今まで俺はお前を迎えになんか行ってねえよ…お前みたいな奴くらい、俺はいくらでも乱暴する事だって出来る。跳ね除けられるし、手だってあげられる。」
そうだ、中也さんはいくらでもそんな事出来る。
私といえども、中也さんくらいに力の強い男の人にはどうやっても敵わない。
だけど確かに彼の言う通り、今日だって私は一度たりとも、押し退けられたりしなかった。
「だが俺は、どうやらお前にはそんな事が出来ねえらしい。…蝶にはどうしても、適わねえみたいなんだ」
『………好きだよ…中也さんが好き、大好き。離れない』
中也さんの首元に抱き着いて、子供みたいにわがまま言って。
「お前に怖がられて気付いたよ。蝶に拒否されて、死にたくなる程胸が痛くなった。…俺も、蝶が大好きだ」
腕をまわしてそれに応えてくれるから、居心地がいいの、中也さんのとこ。
