第4章 新しい仲間と新しい敵と…ⅱ
蝶の奴が出て行ってしまった保健室では、何故か餓鬼共から説教を食らっていた。
「中原さん、なんで引き止めなかったんですか!どう見たってさっきの、中原さんに引き止めて欲しかったって言ってるようなものだったのに!」
「いやまて、あれ完全に拗ねてんだろ!?そもそも俺が引き止めるよりもあいつがしたいようにさせてやった方が」
「いや、流石に俺らにも分かるレベルだったっつーか…」
「白石があんなに甘えてっとこ初めて見たけどな」
自分で言ったのと、周りがこそこそ話してるのを聞いて気が付いた。
あいつが、蝶がしたいようにさせてやった方が?
そもそもあいつがさっき俺から離れるような事になったのは、こいつらの目が気になって恥ずかしくなった俺が、咄嗟に離れようと言ったからじゃあないのか。
あいつ曰く“中也さん症候群”とかいう妙な名前の、所謂甘えたい気分の時にだ。
いつにも増して頑固になる上、ただでさえそうなのに寂しがりになって、でも唯一本音を素直にぶつけてわがままを言える時。
蝶は確かに離れたくないと意思表示をした。
わがまま…言ったよな?
「おい手前ら、蝶が日頃わがままを言うのを見た事はあるか」
「え、なんでいきなりそんな事…さっきも話してたけど、やっぱ甘えたりしてるところ見る事なんてないですよ。寧ろ今、多分中原さんより俺らの方が驚いてます」
「わがままも何も、私達の事考えて行動しすぎっていうか…ああ、まあでもやっぱり中原さんの事だけは譲らないって感じだよね」
口々に言われる、見たことがないという言葉。
そして俺の事に関して言えば誰にも譲る事がないことから、そこがあいつが校内で唯一見せるわがままの片鱗なのだろうと想像する。
「というか、中原さんが鈍感すぎるっていうか?」
「あ?おい岡島、手前それどういう事だよ」
俺が鈍感と聞こえて、すぐさま発言主に近寄る。
「え、いいいや!あの…なんていうか、白石の中原さん好き具合を一番中原さんが分かりきってないっていうか。多分中原さん以外の全員がそう思ってますよ」
「ね」
「ほんとほんと、蝶ちゃんが可哀想になってくるくらいには」
「これだから単細胞な男はダメなのよ。あんなに蝶が勇気出してくっついてるってのに」
岡島の説明に続いて、やけに女共からの非難の声が上がった。
「勇気出して?…蝶が可哀想になってくる?」
