第26章 帰郷
「わざわざ悪役買って出てんなことすんなアホ、本気で何かしたんかと思ったやん。…ありがとうな」
やけに素直にお礼を言われて、簡単に私の意地はどこかに消えていく。
…何それ、そんなあっさり…何私なんかにお礼とか言っちゃってるのこいつ、意味わかんない。
「?つまりあれってどういうこと…?」
「俺がお前さんらに、ただの戦闘能力もない凡人に見られて…そんでもってそれを否定せんかったままやったんが悔しかったんやろ」
『は?何言ってんの私より弱っちいくせに』
「おお?久々にやるか?裏隊長さんよォ…お前、俺のやり口ならよう知ってるやろ?」
飛び散る火花に、間に入ってくる殺せんせー。
「まあまあまあまあ、落ち着いて!ね?…蝶さんが平子さんのこと大好きなのはわかりましたから」
『蝶は中也が大好きだから勘違いしないで』
「あっ、それは勿論ですとも…ただ、多分皆さん、貴女がそこまで言う平子さんの事が気になるようでしてね??」
促されてみんなの方を見てみれば、瞳を輝かせて真子に目を向ける子達ばかり。
なんだろう、このデジャブは。
「ああ?俺はええけど…あんさん相手にしたら俺、最悪普通に殺せてまうで?」
「「「「!!!!」」」」
『…竹刀でもあれば私が相手にならないこともないけど?』
「お前じゃ効き目ないからごめんやわ、剣術単体でも多分普通に負けるし……やるなら槍の方がええ」
ぴく、とその声に反応して更に何かが冷えていく。
驚く程に相手を突き放すような声が出た。
『何それ…私へのあてつけか何か?』
「俺なんかの剣術よりもお前の剣術…そんでもってそれよりも、お前の槍や。そんなん当たり前やろ。一番ええ見本やんけ、何よりお前が一番思い入れが『あったら何?』え…は?お前、珍しくえらい素直な…」
『…あったところで無いものは無い。持って無いし…第一私にはあれを握る資格は無い』
「資格って…お前以外の誰にんなもんあるねん、お前やからこそ握るべきやろ」
『味方の人間を二回も殺してるのよこっちは』
真子はこの話をよく知らない。
知らないけれど、離れていた期間に私に何があったのか…大まかには知っている。
有名な話だ。
この手で師匠を殺した…それも、二回も。
「…槍ですか、それなら先生作れちゃうかもしれません」
『!!!いい、いらないから!』