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第26章 帰郷


別室へと入って襖を閉めてから、中也と喜助さんは何故か向き合って正座する。
それから私は癖なのかなんなのか、中也の方へと行くのが少し怖くて喜助さんにくっついたまま顔を埋めさせていた。

『ひっ、…ク、…』

「……あの、浦原さん。話って…蝶のことだよな?」

「その通り…なんですけど、単刀直入に言いますね?この子、遠慮しすぎて色々考え込みすぎちゃってたのが緩和されてめちゃくちゃ素直になっちゃってるんですよ」

「それはまた唐突な…いや、でもそれはいいと言えばいいような?」

「…つまりそのですね?本人がひた隠しにしてきてただけなんでしょうけど、この子すんごい怖がりで臆病で寂しがり屋だから…僕にここまでベッタリなのもいつ以来なことか」

ね?なんて言いながら中也の方を見る喜助さんに反応してか、中也からの視線がこちらに向いたような気がした。

「…蝶? ……俺、どんなことで妬かれたって怒らねえよ?」

『!、…ふ、ぇ…なん、…っ』

「だって今泣いてんのって、妬いてる自分に嫌気がさしてるってのもあるんだろ?…そんなに怖がらなくていい、寧ろそれくらいの方が丁度いいんだよ俺には」

呆然として、目を丸くする。
驚く程にすうっと何かが楽になった。

「貴方…やっぱりドSッスね中原さん、そんなに可愛いですかこの子。可愛いですよね」

「流石に泣かせてぇとは思わねえよ…別に他の誰かに愛想良くしたいわけでもない。ただ、蝶が俺と出逢えたのは奇跡みたいなもんだから」

『…愛想、つかされてない?……色々知って、嫌になったんじゃ…』

「つかすかよ阿呆、心配性は変わらねぇなやっぱ?お前そんな普通の枠組みの人間好きになったのか?」

あれだけ否定してても、こういう時には決まって自分で肯定してしまう。
そうだ、この人は頭のおかしな人。

私の後ろめたさなんて全部お見通しだった。
私が真子に対してこの感情を抱きかけていたことも、喜助さんなんかに関しては何ものにも代えられないような関係だったことも、全部受け入れているっていうの…?

「…すみません中原さん、この子…損な生き方ばかりしてたでしょう?あれ、やっぱりボクのせいだったみたいで……寂しいとか、怖いとか、嫌だとかっていう感情を一回捨てちゃってたんですって」

「二千年弱かけてまた培ってたみたいだけどな?…そうだったか……こっち来い、蝶」
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