第26章 帰郷
『…っ、!!!!!』
「?…どうしたの、澪さん」
目が覚めると、よく知ったにおい。
よく知ったあたたかさに、よく知った声…よく知った人。
『い、ま……こ、こ…?』
「…久しぶりにうちで一緒に寝て、起きたところですよ。大丈夫、中原さんと出逢ったのは夢じゃありません」
喜助さんのその言葉に、酷く安心した自分がいた。
…喜助さんの誕生日なのに、なんだか情けない。
『…そう、ですか。……ねえ、その…本当にするの?こっちの現世とかじゃなくて、あっちの世界でスイーツ巡り…』
「勿論、いっぱい堪能しますからね?…姫ちゃんにもいっぱい食べさせてあげるから」
『そういうのは中也だけで十分なの。…浦原商店行こう?私、その……え、と…』
「?……!もしかして朝ごはん作ってくれるの?」
『!!!ち、中也の分のついでだから!!』
「そうですかそうですか、僕に手料理を…」
聞いちゃいない。
それどころかまた撫でられる。
ああもう、だからこの霊子体質は…
扉を作って浦原商店へと駆けつけると、そこには朝から台所に立つ中也の姿が……え、?
『…何、してるの?』
「!おう、戻ったか…何って、お前が帰ってきた時用の飯作ってた」
『…』
机の上に並べられた、すでに完成しきったご飯。
そしてそこにやって来ていた夜一さんとテッサイさん…ジンタ君に雨ちゃんまで。
「あありゃりゃ、これまた美味しそうな…」
「喜助さん…澪さん、本当にまた会えたんだ」
「遅かったな、もしかして実家で泊まっておったのか?…まあいい、食え。美味いぞ?中也の飯は」
『……ねえ中也、なんで蝶以外の人が先に中也のご飯食べてるの?蝶まだ一口だって食べてないのに』
ピシ、と空気に亀裂が入る。
「いや、もう少しあっちでゆっくりしてくるもんかと…お前の大事な人達だろ?美味そうっつって見てたからついでに作っ『蝶より早くに皆に会って、蝶よりいっぱいお話したんだ?』えっ…お、怒ってます…?」
『…ご、め…っ……蝶、なんか今おかしい…』
「!!!?泣い…っ!!?えっ、今のはキレられるところだったんじゃ…」
「あ〜…うん、中原さん?ちょっとお話が」
手招きする喜助さんの方に涙目のまま振り向いて、素直に本音をそのまま口に出した。
『喜助さんまで中也のこと取ってっちゃうの…、?』
「澪ちゃんも一緒で!!」
