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第26章 帰郷


「……これは…久しい顔だな」

『あら意外…貴方も人の顔くらいは覚えているものなのね』

「忘れるわけがないだろう?私の大切な愛玩具を」

椅子に特殊な拘束で座らされるその男は相変わらずの笑顔を浮かべている。
今となっては素の笑顔…気持ち悪いを通り越して違和感さえ感じなくなってきた。

京楽さんの同伴があるものの、しかし彼…藍染惣右介は、私へ向けてその目を変えることはないようだ。

『気持ち悪いこと言わないで、一度も貴方に服従した覚えはなくてよ?』

「全て君のために用意したのにか?…アーロニーロ・アルルエリを成長させたのも私だ…まあ、結果的に君は自身の手で殺してしまったようだったが」

『…怒ってるのかしら』

「いいや、見事に驚かされたなと思い出に耽っているだけだ。……それにしても、えらく小柄になったね。まるで小さな頃の君を思い出す…浦原喜助に見捨てられたあの頃のようだ」

ゾクリと、嫌な感覚が身体を走る。
嫌な思い出が頭を過ぎる。

「ははっ、そう怯えるな…もっといじめてやりたくなる。………こっちへおいで、“紅姫”。奇跡のような再会だ、可愛がってあげようじゃないか」

『…ッ、…呼ば、ないで…』

「おっと、これは失礼なことをしたね。君には愛称があったのに…姫、だったかな?哀れな姫だ、長く永く独りにされて」

『…も、いいでしょう…?……酷いこと、しないで…お願い…だから』

心からの声だった。
確かに封印したのは私の主である喜助さんである上、その隙を作ったのは紛れもなく私である。

しかし、それでも嫌な思い出というものは薄れない。
どんな刑に処されていても、憎い相手が孤独にいても、恐怖や孤独は忘れられない。

「……どうしてお前は、そんなにも綺麗なままなんだろうな」

『え、…』

小さく聞こえたかと思えば、震える私に対して、彼は拘束を一時的に解除しろと言ってきた。

『…私がそれに従う義理は無いはずよ』

「お前は唯一私を理解した存在だ。今更私がお前の力で拘束から逃れたところで、無様に計画を練り直すような男だとは思うまい」

京楽さんからは動揺が少し感じられた気がするが、本当に私がすることならば止めるつもりは無いらしい。
…私が裏切るようなことをしないという信頼からか、はたまたただの同情なのか。

『…いいわ。ただ、私に何されても文句は付けないこと』
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