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第26章 帰郷


「まあ、深くは追求しねえよ…でも、あんま我慢するのは辛いだろ?もう少し楽に生きてもいいと思うけどな、お前」

『…ダメだよ、そういうこと言って甘やかしちゃ。私、“人殺し”だから』

「ちょ、その話はもう…」

「あ?人殺しに向かって何言ってんだよ今更…おい、蝶…?」

人殺し、そう小さな唇を開いて発した彼女は、そのまま別空間へと移動する。
ああ、またか…なんて居場所も分かってしまうほどに、彼女はまだ引きずっていた。

そりゃあそうか、あの時、誰よりも一番近くでいるべきだった自分が一緒にいてやれなかったのだから。
平子真子を遠ざけてしまったのも、自分だから。

「…中原さん、彼女の師匠については…何か、聞いていますか?」

「師匠…?…いや、それはほとんど聞いたことが……もしかして、あいつの大事な奴って…?」

「…あたしや平子さんが、彼女の事を置き去りにしてしまったことがあるのいうのはもうご存知ですね?その間…約百十年」

言った途端にかたまる中原さんの表情。
二千年の比じゃないにしても、そんな期間…最も信じていた人間に見捨てられたと、彼女は感じていた。

平子さんはまだいい、表向きには殉職したという形だったから。
しかし自分は…現世へと逃亡したのだと。

あの子を、一人尸魂界へと残して消えたのだと。

「百十年もの間、あの子がどうして生きていられたか分かりますか?…特に死ぬような理由も無かったからです」

「!……それは、また…えらく酷な話だな」

「はい、不可抗力にしろ彼女には本当に…しかもあの子はあれで本当に頭のいい子ですから、すぐにどうしてあたしが置いていったのかにも気が付いた。だけどこちらからは干渉させないようにしていましたから……酷い話っすよね、本当」

「…それで、その師匠ってのは?」

そうだった、その話だった。
自分も、一緒にいたわけじゃあないから細かいところまでは知らない…しかし、話だけは聞いている。

「あたしがいなくなってから、特にあの子の面倒をよく見てくれていたのが…護廷十三隊前十三番隊隊長の、浮竹十四郎さんという方でして」

あの子が追放されている内に、戦死してしまった方です。

「…これでも殺し屋だ、気にせず続けてくれ」

「!そうですか。…とてもよく気にかけてくれていたそうで。その十三番隊の、当時の副隊長さんがあの子の師匠なんですよ」
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